
- ビタミンEって何に効果があるの?
- 精子の質を改善できるサプリや医薬品を探している。
- 精子を良くしたいのだけど何かいいものないかな?
こんなお悩みの方におすすめです。
サプリメント(健康食品)や医薬品でも幅広く利用されているビタミンE。
ビタミンEは日々の健康維持には当然必要なビタミンであり、その効能効果も今では様々はメディアでも取りだたされてきています。
肌や美容に関してもビタミンEは有名になってきていますが、ビタミンEの最大のメイン効果はその強力な抗酸化作用です。
その抗酸化作用によって男性の精子が元気になったり、状態が改善される可能性があります。
- ビタミンEが精子を改善できることがわかる
- しっかりとビタミンEの飲み方を理解できる
- 理解でき、継続することで妊娠の確率が上がる
ビタミンEとは?
ビタミンEには4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールの合計8種類あり、8種類の総称をビタミンEと呼びます。
ビタミンEには強い抗酸化作用があって、生体膜の機能を正常に保ったり、赤血球の溶血を防止したり、生殖を正常に保つ働きがあります。
トコフェロールは天然では4種類あります。
その4種類はα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)になります。
生体内ではαトコフェロールが最も生理作用が強く、αトコフェロールの生理作用を100とした場合、βトコフェロールの生理作用は40、γトコフェロールは10、δトコフェロールはと1されています。
ビタミンEの3種類の型
ビタミンEにはサプリメントなどに使用されるものとして製造方法や抽出の方法によって合成、天然型、天然の3つに分けられます。
合成αトコフェロール
合成ビタミンは大量生産が可能で、人為的に合成されたビタミンになります。
食品添加物などにも使用されていて、添加された食品の安定を目的としています。
合成のものは化学的には天然ビタミンと効果や作用はあまり変わらないという意見もありますが、摂取した場合、体内の吸収率は天然型や天然のものよりも吸収率が低いといわれています。
天然型αトコフェロール
植物油から抽出を直接行って、酢酸をつけて安定させたものが天然型ビタミンEと呼ばれます。
サプリメントや美容クリーム、マッサージオイルなど多くの業界で使用され、身体の代謝を高め医薬品としても活用しています。
天然αトコフェロール
天然のものは、天然型と違い酢酸をつけずに安定化させたもので製剤技術の工夫が必要になります。
合成や天然型よりもさらに効能が高く、身体の基礎代謝を天然型よりも高めてくれ、天然ビタミンEといわれています。
世の中にたくさんのビタミンEが販売されていますが、価格はそれぞれ全く違います。
価格の違いはこの型の違いがほとんどで、天然である方が、製造が難しく、それだけ手間暇がかかる分価格が高目ですが、効能と吸収率は高くなります。価格と性能は比例しているのです。
ビタミンEの効果と働き
ビタミンEを摂取することでたくさんの効果効能があると言われています。
医薬品や美容など様々な分野で注目されています。
活性酸素を除去して身体を守ることに期待
活性酸素がたくさん発生した場合、ビタミンEにはそれを抑える効果があります。
その作用のおかげで、動脈硬化や心筋梗塞などを防いでくれます。
血液をサラサラにし、血液の流れを良くして代謝を高めるという効果も併せ持っています。
老化の防止に期待
ビタミンEは、シワやシミを防ぐ効能があるだけでなく、肌の乾燥を予防する効果もあります。
紫外線によって発生した活性酸素を消去し、若さを保つビタミンとして美容業界でも注目されています。
美容クリームやマッサージオイルなどにも含まれているものもあり、女性にとって強い味方となります。
不妊症の予防等に期待
ビタミンEは元々は不妊を予防することのできる栄養素として発見されました。
女性ホルモンと深い関わりがあって、欠乏してしまうと妊娠がしにくいといわれています。
一方でビタミンEを上手に摂取することによって、生殖機能が向上される効能があるいうこともわかっています。
不妊治療にも役立っていて、排卵の促進を促す効果や、黄体の増加につながるため、生理周期も安定して正常化する効能があることが期待されています。

その他にもたくさんの効能効果が期待されています。
ビタミンEの1日の摂取量
ここ最近ではサプリメントなどの認知が次第に増えてきていますので1日の摂取量や上限などを詳しく聞いてくる方が店頭でもよく見受けられます。
厚生労働省は栄養素の1日の摂取量を定めていますのでビタミンEに関しても基準がしっかり設けられています。
男性は70歳以上で7mg、30歳から49歳で8mg、18歳から29歳、50歳から69歳で9mgと必要摂取量が定められています。
女性は70歳以上では7mg、18歳から69歳までで8mgと定められており、授乳している女性は11mg必要だといわれています。
ただ、ビタミンEは体内で蓄積しにくい栄養素なので、通常の食事で過剰症になることはまず考えられません。
サプリメントなどで極端な過剰摂取の場合は別ですので1日あたりの耐用上限量も定められています。
1日当たりの耐用上限量を、50~69歳の男性で850㎎、50~69歳の女性で700㎎、70歳以上の男性で750㎎、70歳以上の女性で650㎎。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5(月) | 3.0 | - | 3.0 | - |
6~11(月) | 4.0 | - | 4.0 | - |
1~2(歳) | 3.5 | 150 | 3.5 | 150 |
3~5(歳) | 4.5 | 200 | 4.5 | 200 |
6~7(歳) | 5.0 | 300 | 5.0 | 300 |
8~9(歳) | 5.5 | 350 | 5.5 | 350 |
10~11(歳) | 5.5 | 450 | 5.5 | 450 |
12~14(歳) | 7.5 | 650 | 6.0 | 600 |
15~17(歳) | 7.5 | 750 | 6.0 | 650 |
18~29(歳) | 6.5 | 800 | 6.0 | 650 |
30~49(歳) | 6.5 | 900 | 6.0 | 700 |
50~69(歳) | 6.5 | 850 | 6.0 | 700 |
70以上(歳) | 6.5 | 750 | 6.0 | 650 |
妊婦 | 6.5 | - | ||
授乳婦 | 7.0 | - |
ビタミンEの欠乏症
医学の進歩によってビタミンEが欠乏することで様々な症状が起こることが判明してきたと同時に、現代人はビタミンEの摂取量が減ってきている傾向にあることが分かりました。
それは食生活の変化が原因で、欧米化の食事やジャンクフードが溢れている現代ではビタミンEのみならず多くの栄養不足が指摘されています。
ビタミンEが欠乏することで起こる症状は以下になります。
- 神経や筋障害の症状
- 血行不良、冷え症、頭痛、肩こり
- シミやシワができやすくなる
- コレステロールが酸化するので動脈硬化が進行
ビタミンEの過剰症
欠乏症とは逆で過剰症というものもあります。
1日の上限量を超える服用は控えるように注意してください。過剰症の症状は以下の通りです。
- 血液が止まりにくくなる(出血が止まらない)
- 骨量を減らし骨粗鬆症に
- むくみ、胃の不快感
- 皮膚のかゆみ
ビタミンEを服用するタイミング
ビタミンEは脂溶性のビタミンになります。
脂溶性ビタミンというものは、油に溶けやすい性質なので、油と一緒に服用することで身体により吸収されやすくなります。
ですのでサプリメントや医薬品でビタミンEを摂取する場合は、食後に服用するようにしましょう。
せっかく服用しても空腹時の服用とは吸収率がまったく違ってきます。
それと、継続することが最も大切です。私も店頭で相談を受ける際、必ず3か月は継続することをお伝えしています。1か月や1瓶服用したくらいで効果がわかる人はほとんどいません。
効果がないと言う方は、だいたいが途中で服用をやめている人か、毎日継続していない人、あるいは不足していないのに服用しているかのどれかだと思っています。
ビタミンEを多く含む食材食品
日々の食事で摂取するには何をどれくらい食べればいいのでしょうか?
αトコフェロールに注目して一覧にしました。
ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類、胚芽油、ウナギなどの魚介類、大豆、穀類、緑黄色野菜などに多く含まれています。
ビタミンEの多い食品ベスト32 (水分が40%以上) | (水分が40%未満のベスト8) | ||||||||
あんこうのきも | 13.8 | めんたいこ | 6.5 | とんぶり | 4.6 | うなぎ(きも) | 3.9 | せん茶の茶葉 | 64.9 |
すじこ | 10.6 | モロヘイヤ | 6.5 | たい(焼) | 4.5 | しそ | 3.9 | とうがらし | 29.8 |
キャビア | 9.3 | サウザンアイランドドレッシング | 6.1 | ほたるいか(生) | 4.3 | えび(伊勢えび) | 3.8 | アーモンド | 29.4 |
いくら | 9.1 | フレンチドレッシング | 6.0 | 赤ピーマン | 4.3 | しその実 | 3.8 | 抹茶(粉) | 28.1 |
あゆ(養殖/焼) | 8.2 | オリーブのピクルス | 5.5 | 子持かれい/水煮 | 4.2 | かに(毛がに) | 3.7 | サフラワー油 | 27.1 |
いわし(油漬) | 8.2 | うなぎ(かば焼) | 4.9 | はまち(生) | 4.1 | うに | 3.6 | とうもろこし油 | 17.1 |
たらこ(焼) | 8.1 | だいこん(葉) | 4.9 | きくの花 | 4.1 | 粒うに | 3.6 | なたね油 | 15.2 |
たらこ(生) | 7.1 | かぼちゃ(西洋) | 4.7 | かぶのぬか漬(葉) | 4.0 | つくし | 3.6 | マーガリン | 15.1 |
一見すると1日の摂取量は余裕で超えることがわかると思います。
ただの健康維持には普段の食事をしていれば十分であり、欠乏症になることはほとんどありません。
しかし、何かの改善を目指すのであれば、それでは足りません。
過剰摂取を推奨するわけではありませんが、上限容量以内でできるだけ摂取することをお勧めします。
男性の精子にビタミンEが与える影響

それでは男性の不妊にビタミンEはどう影響していくのかについて説明していきます。
ビタミンEの最大の特徴はその強力な抗酸化作用であることは上述しました。
男性不妊は精液検査によって基本4つの症状に分けられます。乏精子症、精子無力症、精子奇形症、無精子症の4つです。
そして抗酸化作用はこの4つの中で、乏精子症・精子無力症・精子奇形症を改善する効果が期待されています。
この3つに一度に効果が期待されているものは禁煙、ストレス解消、栄養不足改善、抗酸化、葉酸、亜鉛の6つと言われていて、そのうちの1つが抗酸化になります。
抗酸化作用のある内服にはビタミンEのほか、コエンザイムQ10も有名です。
実際に病院やクリニックで、ご夫婦の年齢がまだ若い場合、薬物治療から始めるところも少なくありません。
精子とコエンザイムQ10に関してはこちらの記事で詳しく説明しています。
精子へのダメージを減少させる
精子は精巣で作られて射精するまでの間に活性酸素の影響を受けてしまいます。
特に精巣上体での影響は必ずといっていいほどダメージを受けてしまい、それが精子DNAの損傷や、精子運動率等に影響を与えています。

活性酸素の影響を強く受けすぎることで不妊へと繋がってしまうのです。
ビタミンEの抗酸化作用によって活性酸素を除去し、精子へのダメージを減らすことが期待されています。
30~80%の男性不妊患者では活性化酸素による精子のダメージが影響していて、不妊男性の分析によると抗酸化物質のサプリメントによる治療により、生児獲得率は4.21倍に、臨床的妊娠率は3.43倍上昇するものの、流産率の上昇は認めなかったとしています。
精索静脈瘤のある男性不妊患者に3か月以上投与したところ4例で精液所見が改善しかつ自然妊娠が成立したという報告があります。
それでは論文をいくつかご覧ください。
抗酸化剤が精子に良いとされる論文
Fertil Steril 2013; 100: 1151(クエート)
ラットにブレオマイシン、エトポシド、チスプラチンを3周期行いこの間の食餌への抗酸化剤カクテル(ビタミンC,ビタミンE、亜鉛、セレン)添加群と非添加群で比較。抗酸化剤添加群では非添加群と比べ、精子運動率の低下、精子奇形率の増加、精子細胞増殖能の低下に改善が認められましたが、精子数の減少、妊娠率低下、精細管萎縮、テストステロン低下、精巣重量低下には変化がありませんでした。
この論文は精巣癌の予防策として抗酸化剤が有効であることをラットでしめしたものです。
抗癌剤は精子へのダメージがあるため、乏精子症、無精子症、性欲減退、精子数減少、精子運動率低下、精細管萎縮が生じるため、妊娠する力が低下します。
Fertil Steril 2012; 98: 1130
22~80歳の非喫煙男性80名の精子のDNAダメージと微量栄養素摂取の状況を調査。ビタミンC、ビタミンE、葉酸、亜鉛の摂取が多いほど精子のDNAダメージが低いという結果でした。これは、高齢の男性(44歳以上)で顕著で、若年男性(44歳未満)では微量栄養素摂取のメリットは認められませんでした。高齢男性(44歳以上)で、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、亜鉛を最大に摂取している方は、丁度若年男性(44歳未満)と同じレベルにまでDNAダメージが低下していました。また、β-カロテン摂取の効果は認められませんでした。
ビタミンEだけではありませんが、抗酸化物質とその他の栄養素の同時摂取によって改善が見られた結果となりました。
ビタミンEは、1日の摂取を150~300mgにすることで25~45%に有効であるとされるデータがあります。
例えば私の場合30代ですので上限容量は900です。
食事からある程度摂取できると考えて1日300~400mgくらいをサプリメントや医薬品で摂取しても問題ないと考えますし、それくらい服用しないと改善までは至らないと考えています。
上記は人への臨床試験データもありましたが、一部は動物実験レベルです。

全てを人に当てはめることはできません。
妊娠を成功まで導く確立された絶対的方法は未だにありませんので、過剰な期待は禁物です。
しかし、男性不妊と診断された人は、何でもいいからすがりたくなっている気持ちだと思います。私もそうでしたので痛いほど気持ちはわかります。
何を信じて、何を始めればいいのかわからず、不安で、ストレスだけが溜まる状態。
でも、そのままでは何も変化が起きないですし、何も改善されません。何かを始めないと変えられないのです。
100%の人に効果がないものでも、もしかしたらあなたには効果があるかもしれません。
その挑戦を無駄だと思うのか、子供ができる可能性を1%でも向上させようと行動するのかが大切です。
まとめ
- ビタミンEは抗酸化作用があり、価格の違いは効能と吸収率に比例する
- 1日6.5mgが目安だが、上限は800~900とされている
- ビタミンEは食後に摂取するのがベストタイミング
- 何かの改善が目的なら目安より大目に摂取しないと改善は難しい。1日150~300mgにすることで精子改善率は25~45%回復する
- ビタミンEは精子数、運動率、奇形率に影響する
抗酸化物質の継続服用は男性の受精能力を向上させることに大きな期待が持てます。
実際、病院やクリニックで薬物療法をスタートする際、内服として支給されるものがビタミンE製剤やコエンザイムQ10になっています。
つまり精子の質を改善することに期待されているということです。
ただ上述したように100%の男性に効果があるわけではありません。
また、ビタミンEにするのか、コエンザイムQ10にするのかは個々の判断になりますが、可能であれば3か月継続服用した後に、精液検査を受けて、精子の質が実際に改善されているかどうかを数値で判断するのが良いでしょう。
ちなみにビタミンEは医薬品として出回っていますが、コエンザイムQ10は健康食品止まりです。
またリコピンも抗酸化の観点から精子改善には良いとされています。
私個人としては精子改善にはコエンザイムQ10の方が効果があると感じています。
精子の質を絶対に改善できるとされる確立された方法は今のところありません。
しかし、効果が期待されるものはいくつかあります。その1つが抗酸化物質です。
もし男性不妊で悩んでいて精子の質を改善したいと考えているのであれば、抗酸化物質と亜鉛は必ず服用することをおすすめします。
妊娠は確率論です。1%の積み重ねが妊娠という奇跡に繋がります。
男性不妊の人は、何を始めたら自分の精子を改善できるのか、本当に効果があるのか、様々な不安があると思います。

私も実際そうでしたので気持ちはわかります。
それでも良いと言われていることをまずやってみることです。
効果が100%でないなら必要ない、いつか改善できるから後でいいという考えは捨てるべきです。
何故なら妊娠には年齢というリミットがあり、不妊治療には時間がかかるからです。
年月はあっという間に過ぎていきます。今は時間が取れていても、数年後、様々な公私の理由で時間が取れなくなっている可能性もあります。
妊娠の確率がまだ高い年齢のうちに改善を試みないと、周囲は子供がいるのに、あなた方ご夫婦には子供がまだいなく、辛い思いをすることになりかねません。
そうなると、友人や兄弟姉妹の出産を喜べなくなり、仕事や対人関係にも支障がでてしまうのです。

これは私が実際に経験したので非常に良く理解しているつもりです。
男性不妊について調べている今が行動を起こす絶好のチャンスです。
数か月後、精子の質が改善し、妊娠を目指せる環境であって欲しいと心から願っています。
ではどういうビタミンE製剤を飲めばいいのでしょうか?
おすすめのビタミンE製剤についてはこちらの記事で説明しております。
参考文献