
- 妊娠率や出産率を上げるサプリはないかな?
- 精子の数や運動率などを改善したいけどなにかいいサプリはないの?
- 流産を繰り返すからなんとかしたい
こんな悩みにお答えします。
男性不妊を改善したい、精子の質を良くしたいけど何を服用すれば改善されるのか?
様々なビタミンや栄養素がある中で、ビタミンEや葉酸、亜鉛などが有名でそこにたどり着いた男性も少なくないと思いますが、実はビタミンDが妊娠に大きな影響があり、非常に重要なビタミンであることを知っている男性はそれほど多くありません。
これを読み終えた頃、きっとビタミンDの服用を開始したいとあなたは感じるかと思います。
- ビタミンDは妊娠を目指す女性にも男性にも必要だということ
- ビタミンDのしっかりとした飲み方が理解できる
- 理解した上で継続することで妊娠の確率が上がる
ビタミンDとは
ビタミンDは主に健康食品であるサプリメントとして世の中に認知されていますが、その働きはカルシウムのバランスを整える手伝いをしたり、骨の状態を健康に保つような働きがあることで有名です。
そんなビタミンDですが、近年、免疫力を向上させたり、妊娠しやすい身体作りになどにも期待されるようになってきています。
ビタミンDとは?
ビタミンDにはD2~D7の6種類が存在します。D1は発見された後に不純物が発見されてしまい存在していません。
そして人体にとって必要なビタミンDはD2とD3の2種類です。

ビタミンD3の方がD2よりも効果が高いという意見があります。
ビタミンDは面白いことに、人が唯一体内で生成できるビタミンで、その方法は紫外線に当たることです。紫外線に当たることで皮膚から合成されビタミンDが生成されます。
つまり、住んでいる地域や環境、ライフワークによってビタミンDの生成する量は全く違ってくるのです。

沖縄と北海道や、室内仕事と屋外仕事でも全く紫外線に当たる量が違いますよね?
ですから安定してビタミンDを体内へ取り込むには食事やサプリメントで摂取することが必要となります。
ビタミンDを体内へ取り組むには口から摂取する経口摂取か、紫外線からの皮膚合成しか方法がありません。
ビタミンDの効能効果
ではビタミンDにはどんな効能効果があると言われているのでしょうか?
ビタミンDの主な働きとしては、カルシウムとリンの吸収を手伝い、骨を丈夫にしたり、遺伝子の働きを調整することにあります。
血液中のカルシウムやリンを一定に保つことで骨を丈夫にすることに繋がっていきます。
また免疫力の向上がここ最近期待されてきています。
ビタミンDを摂取することで、インフルエンザAの罹患率が下がったという報告もあるほどです。
さらに糖尿病にも関係することが判明してきています。
糖尿病血中ビタミンD濃度が高い群は、低い群と比べてⅡ型糖尿病のリスクが64%低いことが報告されています。
フィンランド乳幼児10,000人を対象の研究において、ビタミンD摂取によりⅠ型糖尿病発症リスクを88%抑制できたと報告がある。
そしてビタミンDは妊娠成立に大きく関わっていることが判明してきています。

後述しますが、ビタミンDを服用することで男性だけでなく、女性にも妊娠成立へと導く様々な良い影響があります。
ビタミンDの欠乏症と過剰症
ビタミンDは人体にとって不足しがちなビタミンで有名です。
ビタミンDが不足しているかどうかは採血によるデータでしか判断できませんが、日本人の血中ビタミンDは不足しています。
9084名の日本人の血中ビタミンD(25(OH)D)を測定したところ、ビタミンDが十分であった人はわずか9.1%であった。
たった9%です。あなたもビタミンDがおそらく不足していることでしょう。
そしてビタミンDが不足することで欠乏症になります。ビタミンDの欠乏症は以下になります。
- 小児のくる病
- 成人の骨粗鬆症、骨軟化症
まだ研究段階のものとして以下の症状があげられます。
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 免疫力低下
- 自閉症
- うつ
- 花粉症
欠乏症とは逆に、過剰に摂取するとどうなるのでしょうか?
ビタミンDを短期的、長期的に過剰摂取することで、骨からのカルシウムの動員が激しく起こってしまい、血中のカルシウムとリン濃度が高くなり、腎臓や筋肉へのカルシウムの沈着や軟組織の石灰化が起こります。
その他の症状としては、嘔吐、食欲不振、体重減少などが起こることがあります。
ビタミンDの1日の摂取量と上限値は?
たとえ健康食品であっても、過剰に摂取することが危険に繋がり、かといって不足すると欠乏症へ繋がってしまいます。
厚生労働省は各栄養素に関して一定の摂取目安や上限値を定めています。ビタミンDの1日の摂取量や上限値は以下になります。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
6~11(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
1~2(歳) | 2.0 | 20 | 2.0 | 20 |
3~5(歳) | 2.5 | 30 | 2.5 | 30 |
6~7(歳) | 3.0 | 40 | 3.0 | 40 |
8~9(歳) | 3.5 | 40 | 3.5 | 40 |
10~11(歳) | 4.5 | 60 | 4.5 | 60 |
12~14(歳) | 5.5 | 80 | 5.5 | 80 |
15~17(歳) | 6.0 | 90 | 6.0 | 90 |
18~29(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
30~49(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
50~69(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
70以上(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
妊婦 | 7.0 | - | ||
授乳婦 | 8.0 | - |
単位は全てμg(マイクログラム)です。μは100万分の1を意味します。つまり1マイクログラムは100万分の1グラムを意味しています。
基本的に、成人であれば1日5.5μgが目安であり、上限量が100μgとなっていますが、アメリカでは15μgが1日の目安となっています。
ビタミンDをたくさん含む食品食材
ビタミンDを多く含む食品は魚介類になります。
きくらげなどのきのこ類にも含まれますが、穀類や野菜には含まれてなく、肉類にも多く含まれてはいません。

私が大好きな鮭などがビタミンDが多くて有名です。
食品 | 焼き鮭 | うなぎ蒲焼 | さば水煮缶 | きくらげ | 鶏卵 |
---|---|---|---|---|---|
1食当たり 使用量 | 大きめ 1切れ (100g) | 1/2尾分 (80g) | 1缶 (固形物 120g) | 1個(乾) (1g) | 1個 (55g) |
含有量 | 39.4μg | 15.2μg | 11.0μg | 4.4μg | 1.0μg |
ビタミンDを摂取するタイミング
ビタミンDを食品以外のサプリメントで摂取する場合、いつ、どのタイミングで摂取するのが一番効率がいいのでしょうか?
ビタミンDは脂溶性のビタミンになります。
脂溶性ビタミンというものは、油に溶けやすい性質なので、油と一緒に服用することで身体により吸収されやすくなります。
ですのでサプリメントでビタミンDを摂取する場合は、食後に服用するようにしましょう。せっかく服用しても空腹時の服用とは吸収率がまったく違ってきます。
それと、継続することが最も大切です。

私も店頭で相談を受ける際、必ず3か月は継続することをお伝えしています。
1か月や1瓶服用したくらいで効果がわかる人はほとんどいません。
効果がないと言う方は、だいたいが途中で服用をやめている人か、毎日継続していない人、あるいは不足していないのに服用しているかのどれかだと思っています。
ビタミンDが妊娠・不妊に及ぼす影響
それではビタミンDが男性精子にどう影響するのかを説明していきます。
まずビタミンDは精子だけでなく卵子や女性の身体にとっても非常に重要になります。
妊娠を成功まで導く為に、ビタミンDの服用を考慮したほうが良いと言われ始めてきています。

着床や妊娠過程に影響するからです。
つまりビタミンDは男性のみならず女性も摂取することで妊娠成立に大きく近づくと期待されています。
ビタミンDが男性精子に与える影響
それでは証拠となり得る論文をいくつか見ていきましょう。
2011年〜2014年に1248人の不妊男性の調査結果で、ビタミンDが十分(>75nmol/L= >30ng/ml)な男性は、ビタミンD欠乏(<25nmol/L=<10ng/ml)の男性に比べて運動精子数が66~110%と有意に増加していました。
男性でもビタミンD欠乏は精液所見の低下をもたらすことを示しています。
ビタミンDは精子の運動能力を高め、精子の細胞内へのカルシウム吸収を促すことで精子の受精能力の獲得に関与しています。
男性もビタミンD濃度を測定し、不足していれば補充することで精液所見の改善が期待できるのです。
デンマークの研究グループは300人の健康な男性を対象に、血液中のビタミンD濃度と精液の質との関係を調べました。また40人の男性の精液サンプルを対象に、ビタミンDが試験管内の精子内細胞のカルシウム濃度と精子運動能力、先体反応にどのように影響を及ぼすのかを調べました。その結果、ビタミンD濃度が50nM未満で、ビタミンDが足りていない男性は全体の44%に達しており、ビタミンD濃度が高いほど、精子の前進運動能力が高いことが分かりました。
ビタミンD欠乏(25nM未満)の男性は、ビタミンDが十分(75nM以上)な男性に比べて精子運動率や前進精子運動率、正常精子形態率が低かったとのことです。
また、試験管内では、ビタミンDは精子内細胞へのカルシウム吸収を促進し、精子運動率を高め、卵子の中に進入するための先体反応を引き起こすことが確認されました。
妊娠するためには精子の量・運動率・奇形率が影響すると言われています。
当然どれも重要ですが、自然妊娠の場合は量と運動率が重要であり、顕微授精の場合は奇形率や質が最も重要です。
精子の運動率や前進運動率の向上は妊娠への大きな希望となり得ます。
精子の運動能力や形態だけでなく、受精のために卵子の中に進入するときの先体反応を引き起こすことが確かめられたことは非常に大きな意味を持ちます。
ビタミンDが妊娠女性や出産に与える影響
次に女性側に与える影響についてです。
25-OH ビタミンD濃度が不十分(20〜30 ng/mL=50~75 nmol/L)あるいは不足(<20 ng/mL=<50~75 nmol/L)の方と比べると、十分(>30 ng/mL=>75nmol/L)な場合には、7論文2026名のデータで出産率が、オッズ比:1.33倍、5論文700名のデータで妊娠反応陽性率が、オッズ比:1.34倍、11論文2700名のデータで臨床的妊娠率がオッズ比:1.46倍と有意に良好な結果となりました。なお、本解析では流産率には有意差は認められませんでした。
ビタミンD濃度と体外受精成功率との関係についての論文です。
体外受精を受けている女性の血中ビタミンD濃度は、妊娠率や出産率との間に関連があることを示しています。
ビタミンD不足の治療が、体外受精を考慮した女性の治療に重要な条件であるのではないかとするものです。
上記以外で、女性に関する論文だけでもこれだけあります。
- 習慣性流産の女性はビタミンD欠乏が多く免疫異常のリスクも高い
- ビタミンD不足は初期流産のリスク上昇と関連する
- 40代ではビタミンD濃度が低い女性ほど卵子の減少が早い
- ビタミンD濃度は子宮内膜の着床環境に関与している
- ビタミンDは子宮内膜の環境を整えるために、着床に必要である
ビタミンDの働きには、胚(受精卵)が着床し胎盤が形成されるのを制御する役割がありますので、ビタミンDが不足すると着床しにくくなり、胎盤の形成が不十分になるという報告があります。
また、子宮内膜症や多嚢胞卵巣症候群といった不妊症の原因となる病気を持つ人は、血中のビタミンDの濃度が低いというデータがあります。
ビタミンDは男性のみならず、女性にも必要な栄養素であり、妊娠を目指すなら摂取することで過剰でなければマイナスとなる要素はほとんど見つかりません。

自分のビタミンD濃度なんてわかりませんよね?血液検査をしないとわからないことですが、おそらく日本人であれば不足しているのです。
これから妊娠を目指すのであれば、ビタミンDの服用は是非考慮してみたほうが良いかと考えます。
まとめ
- ビタミンDは人が唯一生成できるビタミンで紫外線に当たることで生成される
- 安定して取り込むためにはサプリ等で継続補充する必要がある
- 日本人でビタミンDが十分な割合は9%しかいない
- 1日5.5μgが目安だが、妊娠を目指す場合25μgは必要
- ビタミンDは食後に摂取するのがベストタイミング
- ビタミンD濃度が濃い女性は妊娠率・出産率が高い
- 精子の運動率・奇形率に影響する
- 流産リスクや着床に関係しているとされている
ビタミンDは生殖能力に大きく関わってきます。ただし、上述した通り、確立された方法ではないことを十分考慮してください。
絶対に妊娠する方法は残念ながら今の医学ではありません。だからこそ妊娠は奇跡と呼ばれます。
私は高度の乏精子症で精子はたったの50万しかいませんでした。稼働率も30%台と非常に低く、妊娠は非常に困難であると判断されました。
非常にショックで、男性であることを否定された気持ちになり、苦しんだ一人です。
同じような乏精子症であれ、無精子症の男性であれ、程度は違っても感じた気持ちは同じだと思っています。
それでもそこで諦めないで、自分ができることを継続して妊娠、出産までたどり着くことができました。
今あなたができることをやってみてください。
諦めるのはやれることをやってみてからでも遅くないのではないでしょうか?
妊娠できる期限は決まっています。
もしあなたや奥様がまだ妊娠の可能性がある年齢や段階であるなら、まだ何一つ行動に移していないのなら、ご夫婦でもう1度しっかり話し合い、新しい挑戦を今からスタートしてみてください。

ではどういうビタミンDを選んで服用すればいいのでしょうか?
不妊夫婦におすすめなビタミンDに関してはこちらの記事で詳しく説明しています。
参考文献