
- リコピンって何にいいの?
- リコピンが妊娠にとても影響するって本当?
- 精子の質を改善できるサプリメントを探している。
- 抗酸化サプリで何かいいものありませんか?
- 妊活中の男性が飲むべきサプリを教えてほしい。
こんな疑問にお答えします。
リコピンという名前を聞いたことがある人は多いと思います。トマトに含まれていることで有名ですね。
このリコピン、男性の精子に作用し、男性不妊に対して好影響を与えることが研究により判明しつつあります。
- リコピンが精子改善に非常に重要だということがわかる
- リコピンのしっかりとした飲み方を理解することができる
- 継続することで精子の質を改善でき、妊娠の確率が上がる
リコピン=トマトということから、効果が薄いんじゃないか?なんてイメージしている人もいるかもしれませんが、精巣への効果はその他の抗酸化物質よりも、もしかすると上かもしれません。

この記事を読むことで、いかに男性精巣に恩恵があり、妊活中の男性に向いているかがわかると思います。
リコピンとは?
リコピンはカロテノイドのひとつです。
カロテノイドとは動植物に含まれる、赤や黄色、オレンジ色の色素のことです。
カロテノイドにはリコピンのほかβ-カロテンなどがあります。β-カロテンはにんじんやパセリ、ほうれん草などに多く含まれ、体内でビタミンにA変化するため、早くから栄養学的に注目されていました。
カロテノイド自体が強い抗酸化作用を持つことが知られるようになり、急激に注目度がUPしました。
この抗酸化作用はこのサイトでも何度も登場してきていますが、精子の質を向上することに期待されているものの中で重要視されていて、不妊治療をスタートする初期段階で抗酸化物質を処方する病院やクリニックも今では多くなってきているほどです。
リコピンを多く含む食品や食材
リコピンと言えばトマト、トマトと言えばリコピンとすぐ出てくるほど認知されていますが、リコピンを含む食品はほかにどんなものがあると思いますか?

カロテノイドは赤系の色素なので赤系の食品に多く含まれています。
- トマト 3.0mg
- ミニトマト 8.1mg
- スイカ 3.2mg
- ピンクグレープフルーツ 3.2mg
- 柿 0.7mg
- ローズヒップ 23.3mg
いずれも食材100gあたりに含まれるリコピンの含有量になります。
トマトよりもミニトマトの方がたくさん含まれている点が盲点ですね。
トマトが嫌いでもスイカや柿で摂取できるのは嬉しいことです。

どうしたら効率よくリコピンを摂ることができるのでしょう?
リコピンにはもともと油に溶けやすい性質があります。そのため油を使った調理法によって、吸収率が高まります。
リコピンは熱に強いので、炒めたり煮込んだりしても成分がそれほど減少する心配もありません。
むしろ生で食べるよりもオリーブオイルなどと一緒にトマトソースにしたり、シチューのベースなどとして調理するほうが、より効率よくリコピンをとることができます。
リコピンの効果とは?
リコピンは最近の研究結果からビタミンEの100倍以上の抗酸化作用があることが判明しています。驚愕の数字ですね。
この効果によって様々な背景に影響すると期待されています。主な効果をご紹介します。
- 動脈硬化
トマトジュース2缶を19日間毎日飲むことで、血液中の悪玉コレステロール(LDL)が酸化されにくくなった。
- 糖尿病・動脈硬化
肥満にともなう糖尿病モデルマウスにリコピンを摂取させることで、糖尿病や動脈硬化の予防・改善作用に効果的なホルモンであるアディポネクチンの血中濃度が増加した。
- 肺疾患
肺気腫モデルマウスに、あらかじめトマトジュースを摂取させておくことで、タバコによる肺障害が予防されることを確認した。
- しみ(美白)
メラニンを生成する細胞にリコピンを添加したところ、生成されるメラニン量が減少すること、さらにビタミンEとの組合せでその効果が高まることがわかった。また、リコピンの抑制メカニズムの一つとしてメラニン生成に関与する酵素(チロシナーゼなど)の発現を抑えることがわかった。
- 肌状態
トマトジュース1缶を12週間毎日飲んだ方において、角質層状態の改善が見られた。また、飲用開始後8週間以降で目の下のシワが減少した。
強力な抗酸化作用によって血液や肌への効果が非常に多くあり、それ以外でも癌の予防等に期待できるかもしれないという研究まであります。
当然生殖効力に関するものもあり、後述しますが、精子や妊娠中の女性にも好影響があることが徐々に判明してきています。
その他ですと、ダイエットや血圧に関する報告もあります。
リコピンの1日の摂取量と上限
リコピンの1日の摂取量目安は15mgになります。フランスでは1日20mgとなっています。15mgはどれくらいの量かと言うと・・・
- 大きめのトマトなら2個
- ミニトマトは17個
- トマトジュースだったら1本と少々
- トマトケチャップ 大さじ4杯弱
- ホールトマトなら1缶弱
になります。これを毎日となると大変ですよね。
ですから、リコピンを摂取したい場合、サプリメントで補うのが効率的ですが、トマトジュース1本ならなんとか飲めなくはありません。

できるだけトマトジュースや食事から摂取し、食べない日はサプリで補うのが良いでしょう。
上限は特に定められてはいませんが、以下に述べる過剰摂取の危険もありますので、適度な摂取を心がけるようにしましょう。
リコピンの副作用と過剰摂取
リコピンを過剰摂取した場合の報告がいくつかありますので紹介します。
過剰摂取した場合のサインとして、アレルギーや過敏症の発症、胃の不調不快感、皮膚の変色、低血圧などがあげられます。
とはいえ、リコピンは体内で決まった量しか溜めておくことができません。一度に大量のリコピンを摂取したとしても過剰分は尿などによって体外へ排出されてしまいます。
副作用という副作用はありませんが、過剰摂取による身体の異常サインには注意が必要です。
サプリ等で摂取する場合の服用タイミング
リコピン自体は脂溶性になります。脂溶性は油に溶けやすい性質ですので、食事中や食後に摂取するのがベストです。
また、朝にトマトなどを食べた場合が最もリコピンが効率的に吸収されることが分かっていますので、サプリメントなら朝食後、トマトジュースなら毎食中や毎食後に摂取するのがベストです。
リコピンが精子に与える影響とは?
ではリコピンが精子にどう影響していくのかを説明していきます。
精子に悪影響を及ぼすものの一つとして、活性酸素が挙げられます。活性酸素は細胞を攻撃し老化を促します。

呼吸をすることで必ず発生しますし、紫外線やストレスなどでも発生を加速させるので、生きている以上付き合っていかなければいけないものです。
もちろん身体にはこれを分解・無毒化する酵素があるのですが、年齢と共にその働きは衰えます。
つまり日々発生する活性酸素を減らすには、活性酸素の発生原因を避けるか、抗酸化作用のあるものを摂取するといった対策が必要になってきます。
活性酸素は精子のDNAへダメージを与えてしまい損傷させてしまいます。
さらに精子が射精する際、必ず精巣上体を通過しますが、この時、ダメージを必ず受けます。
トマトの色素であるリコピンは、その強力な抗酸化作用によって、活性酸素を消去する能力を持っているのです。
そしてリコピンは様々な臓器に蓄積されるのですが、特に精巣に高濃度で蓄積することも判明しています。

ここ重要です。
さらに精液中の白血球改善の効果もあります。
白血球が多いということは精巣内で炎症が起こっているということ。一般的に精巣内で炎症が起こると精子の質が悪化しやすくなるのです。
男性の場合、精神的なストレスや肉体疲労が精子の質にとても影響しやすと言われいますし、男性不妊でなくても、精子の状態は日々変化しています。
それだけではありません。リコピンは女性にも必要な成分です。
抗酸化というのは、いわば身体のサビ予防になります。年齢を重ねると女性の場合卵子が老化します。35歳を皮切りに卵子の質が徐々に低下してしまいます。
それが35歳以降妊娠しにくくなる理由の一つです。つまりリコピンは女性不妊にも効果が期待できるということです。
また妊婦さんや授乳中の女性にもリコピンは非常に嬉しい効果が期待できます。
リコピンを摂取することで臍帯血と母乳中のリコピン濃度が上昇します。
つまり臍帯血にリコピンが多いということは胎児にもリコピンの効果が期待できるということになります。
リコピンが妊娠に与える影響に関する論文等
それでは論文等を見ていきましょう。
カゴメ総合研究所や自治医科大学、国際医療福祉大学の研究グループは、男性不妊患者(精子濃度<2000万/mL、精子運動率<50%)、44名をランダムにトマトジュース群(17名)と抗酸化群(15名)、対照群(12名)に分け、トマトジュース群にはリコピン30mg含有のトマトジュース(カゴメの夏しぼり)を、抗酸化群には抗酸化剤(ビタミンC 600mg、ビタミンE 200mg、グルタチオン 300mg) を、それぞれ、12週間飲んでもらい、試験開始時、6週間経過時点、試験終了時に精しょう中のリコピン濃度測定と精液検査を実施しました。
その結果、トマトジュース群、抗酸化群ともに対照群に比べて精液所見に有意な差は見られませんでした。ただし、試験開始時から6週間後、12週間後の差をみてみると、トマトジュース群では開始時と12週間後の精しょう中の白血球数の減少数は対照群に比べて有意差があり、精子運動率の開始時から6週間後の上昇は対照群に比べて有意差がありました。
リコピンを高濃度に含有するトマトジュースを習慣的に飲むことが男性不妊患者の精子運動率によい影響を及ぼす可能性があることが日本で実施された試験で明らかになったものです。
特別な原因がないにもかかわらず、精子濃度や精子運動率が基準を下回るような特発性の乏精子症や精子無力症の多くに、酸化ストレスが関与しているのではないかと考えられています。
そのため、最近では男性不妊外来でもコエンザイムQ10のような抗酸化作用のあるサプリメントが使われることが多くなっています。
コエンザイムQ10と精子に関してはこちらの記事になります。
30名の男性不妊患者を対象に、1日に4mgのリコピンのサプリメントを3ヶ月摂取することで、精子濃度や運動率の改善がみられたという試験的な研究報告もあります。
1988年以降に生まれた健康な男性189名(平均19.7歳)の精液所見と食生活を2009~2010年に調査しました。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド(アルファーカロテン、ベータカロテン、ベータクリプトキサンチン、ルテイン、リコピン)の摂取量を計算しました。ベータカロテンとルテインの摂取量増加に比例して精子の直進運動率が増加しました。ベータカロテンの摂取量をもとに4群に分けると、最低摂取群と比べ最高摂取群で直進運動率が6.5%増加していました。また、リコピン摂取量の増加に伴い正常形態精子が有意に増加しました。
リコピンが精子奇形率に影響するとされる論文です。
精子は簡単に質が悪くなってしまい、日々変化していくものです。
精子を悪くさせない為にもリコピンの継続摂取は必要になると思います。
Hum Reprod 2012; 27: 2807
要約:215名の健康な若者(大学生)の精液検査データと日常の食物摂取について調査しました。抗酸化物質であるクリプトキサンチン、ビタミンC、リコピン、β-カロテンの摂取が運動精子数と正の相関を示しました。また、精液量は、ビタミンC摂取と正の相関を示しました。
抗酸化剤によって精子の質が向上することに期待できる論文です。
ビタミンCも抗酸化作用があり、活性酸素から精子へのダメージを軽減してくれます。
Arch Biochem Biophys 1992; 294: 173
カロテノイドは臓器によって分布が異なります。カロテノイドの多い臓器は、肝臓、副腎、精巣であり、少ない臓器は腎臓、卵巣、脂肪で、脳にはほとんど存在しません。カロテノイドのうち、ベータカロテンは、肝臓、副腎、腎臓、卵巣、脂肪に多く、リコピンは精巣に多く集積していました。
男性の場合、精巣に多く蓄積されるトマトなどに含まれるリコピンを摂取することで精子を活性酸素から守ってくれることが期待できます。
女性の場合、ニンジンやカボチャに多く含まれるβカロテンを摂取することで卵巣を活性酸素から守ってくれることが期待できますという論文です。
サプリメントではなく、日々の食生活を改善することで不妊を克服しようと考えているご夫婦は、トマト、ニンジン、カボチャなどを中心とした食生活へ一新してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- リコピンは強力な抗酸化作用があり、その効果はビタミンEの100倍とも言われている
- リコピンの1日摂取目安は15mgだが上限は特にない
- リコピンは食中や食後に服用するのがベストタイミング
- リコピンは精巣に高濃度に蓄積されることが分かっている
- 精子の濃度や運動率、直進運動率、奇形率改善に期待できる
- 女性不妊にも期待され、ベータカロテンは卵巣に多く蓄積される
健康食品はあくまで食品であって、医薬品のような効能効果を謳うことはできません。
健康食品は病気の予防や治療を目的に使用するものではないのです。
その反面、海外では医薬品なのに日本では健康食品止まりなものも実際には存在します。
日本はそれだけ効能効果や体内へ入れるサプリ等への安全性をしっかり確認しているとも捉えられます。
健康食品の情報が今ではネットで誰でも調べることができる時代です。
私も店頭で仕事をしていて、スマホで情報を見ながら相談する人と接する機会が非常に増えてきています。
中には誇大広告を信じて、間違った知識を持ってしまう場合もあります。
健康食品はあくまで効果が期待できるかもしれないというものであることに注意してください。
それでも男性不妊や女性不妊の場合、効果があろうがなかろうが、効果があるかもしれないものを試してみたいと強く思うはずです。
私もそうでした。何かしら不妊に対して自分自身でできることはないかを探し、自分で決断した方法を実践していたくなるものですよね。
妊娠は奇跡なのです。ですから100%これで妊娠できる方法は残念ながらありません。
しかし1%でも確率を積み重ねた先に妊娠という奇跡が起こりえます。
100%効果が発揮されなくても、自分でできる不妊対策を選んで、継続していきましょう。

ではどういうリコピンサプリを選べばいいのか?
不妊夫婦におすすめのリコピンサプリについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
参考文献