
- アルギニンの妊娠への効果を知りたい。
- アルギニンは精子にどんな影響があるの?
- アルギニンは女性にも効果ありますか?
- アルギニンを飲むと妊娠しやすくなるのかな?
こんな疑問にお答えします。
L-アルギニンという成分は男性にも女性にも、不妊改善を期待され、処方される病院やクリニックも増えてきています。
ドラッグストアでもアルギニンの健康食品が数多く並んでいますが、アルギニンは男性と女性にどう影響するのでしょうか?
理解して服用するのとそうでないのでは、継続への意識が全く違いますので是非理解してから服用をスタートしてください。
- アルギニンの女性不妊への効果が理解できる
- アルギニンの男性不妊への効果が理解できる
- 理解した上で夫婦で服用することで妊娠の確率が上がる
アルギニンとは?
そもそもアルギニンにはLアルギニンと表記されているものもありますが、何が違うのでしょうか?
アルギニンにはL型とD型の2種類が存在し、人体に存在しているアルギニンは全てL型で、D型は自然界にほとんど存在していないと言われています。
アルギニンと表記してあるものは全てがL-アルギニンであり、アルギニンサプリもLアルギニンサプリも同じものになります。
アルギニンとは?
ではアルギニンとはいったい何なのでしょうか?
アルギニンは天然に存在するアミノ酸のひとつで、体内でグルタミン酸から生成されますが、健康を維持するためには生成量は十分とはいえず不足分を補う必要があります。
アルギニンは成長ホルモンの分泌に大きく関係することが知られていますが、その他にも様々な作用があり、不妊治療を受ける男性や女性にも効果が期待できることが発表されています。
3つのアミノ酸の違いとは?
アルギニンに近い成分としてオルニチン・シトルリンがあると思います。
アルギニン、オルニチン、シトルリンの3つのアミノ酸は名前も似ていてどれが何に効果があって、一体なんなのか?という疑問を持っている人も多いと思います。

実際、私も初めて成分を学ぶ際、混同してよく理解できなかった記憶があります。
この3つを学ぶことでアルギニンへの理解が深まります。この3つは非常に密接した関係にあるのです。
アルギニン、オルニチン、シトルリンの3つの違いを理解するために、体内で起こっている2つのサイクルを理解しましょう。
その2つはオルニチンサイクルと一酸化窒素サイクルになります。
オルニチンサイクル
別名尿素回路とも呼ばれ、アルギニン、オルニチン、シトルリンが順に変わっていくサイクルのことです。
アルギニン→オルニチン→シトルリン→アルギノコハク酸→アルギニン
3種類のどのアミノ酸を摂取しても、オルニチンサイクルは活性化されます。このオルニチンサイクルが活性化されることによって、肝臓の中でアンモニアの解毒が促進され疲労物質の排出が行われます。
一酸化窒素サイクル
シトルリンからアルギニンへ変化するときに一酸化窒素を生成することから一酸化窒素サイクルと呼ばれ、オルニチンサイクルの一部になっています。
アルギニン→オルニチン→一酸化窒素に変化してシトルリンも再合成→シトルリン
アルギニンの効果
アルギニンの主な効果としては下記が有名です。
- 免疫力向上
- 身長を伸ばす
- 成長ホルモンの合成促進
- 性機能改善(EDを治す)
- 疲労回復
アルギニンは精力や勃起機能の改善に効果の高いアミノ酸と言われています。
不妊の原因の半数近くは男性の精子の衰弱によるものとされています。
勃起不全の原因は色々ですが、加齢・血管障害・喫煙・心理的ストレス・自信喪失などが関係しています。
血管障害については、アルギニンが体内での一酸化窒素の生成を助けて、血流を改善させることで、精子の量や運動性をあげる効果が期待されているのです。
アルギニンの1日の摂取量と上限値
アルギニンについては、厚生労働省によって正確には摂取基準が定められてはいませんが、アルギニンが効果的に働くためには1日2000~4000mg以上の摂取が必要とされています。
一般的には1日2~6カプセル(1400~4200mg)を2~3回に分けて摂取するサプリメントが多く、それが目安となります。
実際にはアルギニンの体内不足量によって必要摂取量は異なるので、2~4週間程度の後、効き目や体調を見ながら摂取量を調整する必要があります。
アルギニンを長期で摂取した場合に問題のない摂取上限は、大人の場合1日15000~21000mg程度までといわれています。
アルギニンの欠乏症と過剰症と副作用
アルギニンを過剰に摂取した場合の副作用として、胃が荒れる、胃の不快感、下痢、腹痛があります。

ただ食事からのとりすぎはまず心配する必要はありません。サプリメントによる過剰摂取の場合のみ考えられると思っていて大丈夫です。
アルギニンは身長を伸ばすことが期待され、子供にも親は与えたくなることもあるかもしれませんが、サプリの場合、1日分の必要量をそれだけで補えてしまうため、含有量や摂取量には十分注意が必要です。
アルギニンを多く含む食品
アルギニンをたくさん含んでいる食品や食材をまとめました。
- 大豆 2.5g
- 納豆 0.94g
- 豆腐 0.5g
- 鶏胸肉 1.5g
- 鶏もも肉 1.3g
- エビ 1.8g
- 鰹節 4g
- マグロ(クロマグロ) 1.4g
- カツオ 1.3g
- サザエ 1.4g
- ピーナッツ 3.2g
- 松の実 2.5g
- くるみ 2.2g
- アーモンド 2.1g
- カシューナッツ 2g
意外にたくさん含まれているのがナッツ類です。
豆腐や納豆のような大豆製品は身体には良いことはわかりますが、妊娠を目指すなら控えるべきですのであまりおすすめはできません。
アルギニンを服用するタイミングは?
アルギニンは水溶性になります。水溶性は水に溶けやすい性質がありますので、吸収の良い空腹時に摂取するのがベストです。
さらに身長を伸ばしたい場合は就寝前に服用するのがベストです。成長ホルモンが最も活発になるのが夜の時間帯だからです。
また、筋力増強が目的の場合、トレーニングや運動の1時間前ほどに摂取しましょう。
ですから1日に4~6回に小分けして服用するのがベストになります。
アルギニンの不妊治療における効果
ではここからが本題です。
アルギニンが不妊治療にどのような影響があるのか説明していきます。女性の場合と男性の場合に分けて考えられます。
ただ漠然と服用しても意味がなく、目的に合わせて栄養成分を選ばないといけません。
女性不妊へのアルギニンの効果
不妊で悩んでいる女性は多いと思いますが、アルギニンが女性不妊にも効果があるということをご存知でしょうか?
女性不妊の原因には色々ありますが、ホルモンの分泌異常、卵管性異常、膣異常、子宮内膜症等が主な原因であることが多いです。
そして様々な研究結果から、アルギニンが女性不妊の解消に役立つとされている報告がいくつかあるのです。
- 子宮内膜を厚くしてくれる
- 妊娠しにくい女性の妊娠促進効果
- 妊娠高血圧症候群の予防効果
などの報告があります。詳しくは後述しますが、アルギニンは体内で不足している分を補う程度であれば副作用はまず出ることはありません。

しかし過剰摂取には十分注意が必要です。
女性不妊を解消させるための適量は1日2~4g程度を1日数回に分けて服用し、その状態を2、3か月継続して経過を見て、徐々に量を調整していくことが必要になります。
不妊解消には根気が絶対に必要です。
男性不妊へのアルギニンの効果
では男性の場合はどうでしょうか。
まず精子を構成している成分はご存知でしょうか?
主な成分としては亜鉛、アルギニン、ポリアミン(アミノ酸)、ミトコンドリアになります。有名なものは亜鉛とアルギニンあたりでしょうか。
基本的にはすべてが万遍なく体内で準備できていれば正常な精子が作られます。
これだけでもアルギニンを摂取する意味があるのがわかるかもしれませんが、様々は研究によって精子に関する報告が挙がっています。
- 精子数、精子運動率増加作用
- ED(勃起不全)改善作用
- バイアグラとの併用による効果増強作用
どれも不妊男性には非常に嬉しい報告ですね。
男性の場合も当然アルギニンを服用したからといってすぐに効果が出てくるわけではありません。
女性と同じように、数か月継続し、徐々に量を調整していく必要もあります。

私も当然経験しましたが、このすぐに効果が出ず、数か月スパンで服用していくのが結構辛いのです。
精液検査等をするまでは精子が良くなっているのか変わっているのかどうなのかも分かりませんからね。
精子が作られるまでについてはこちらで詳しく説明しています。
アルギニンは精子数を増やし、精子を活動的にするために必要な成分です。
精子の成熟に必要な成長ホルモンを分泌、促進させて精子数を増やし、精子の運動性に重要な働きをするポリアミンを生成することで精子の活動性を高め、男性不妊症を改善する効果が期待できるのです。
アルギニンが妊娠に与える影響に関する論文
では論文をいくつか見ていきましょう。
Fertility and Sterility Vol. 93,No. 6, April 2010, 1851-8
子宮内膜(EM)が8mm以下と薄く、子宮放射状動脈抵抗値(RA-RI)の高い61例の患者に対し、ビタミンE(600mg/日)、L-アルギニン(6g/日)を服用してもらい比較した。結果、ビタミンEはEMを52%改善し、RA-RIを72%改善したのに比べ、L-アルギニンはEMを67%改善し、RA-RIを89%改善した。
アルギニンは子宮放射状動脈の血流と内膜を増加させる効果が期待できます。
これは子宮内膜を厚くするという効果が期待できることを示したものになります。
Hum Reprod. 1999 Jul;14(7):1690-7.
体外受精、妊娠しにくい等の不妊治療中の患者34名を2グループに分け、一方(17名)に従来の方法を、他方(17名)に従来の方法に加えアルギニン(16,000g/日)を摂取させた。結果、アルギニン摂取グループでは卵母細胞および胚の増加が見られ、うち3名の妊娠が認められた。一方、従来の方法のグループには妊娠は認められなかった。また、アルギニンによる副作用は見られなかった。
不妊治療中、体外受精や妊娠しにくいなどの女性がアルギニンを摂取すると卵母細胞および胚が増加し、妊娠が促進されることを示したものです。
アルギニンは高濃度摂取していますが、副作用は確認されなかったそうですが、副作用は当然個人差がありますので、注意が必要です。
BMJ 2011; 342:d2901
妊娠高血圧症候群のハイリスクの妊婦(前の妊娠において妊娠高血圧症候群になった人や妊娠高血圧症候群の家族歴のある人など)にアルギニンを摂取させたところ、アルギニン摂取グループでは、摂取しないグループに比べ、有意に妊娠高血圧症候群の発病が低下することを明らかにした。
アルギニンは妊娠高血圧症候群を予防することを示したものになります。
ただエビデンスとしてはこれからも積み上げていく必要があるものばかりです。
では男性に関するものも見ていきましょう。
Int. J. Impot. Res., 1994; 6: 33-35
ED患者(15人)にアルギニン(約3,000mg/日)を2週間投与したところ、40%の患者に勃起力と性交率において改善が見られることを示した。一方、アルギニンの摂取量が1,500mg/日摂取した場合にはEDの改善はみられなかった。
B. J. U. Int., 1999; 83: 269-273
器質性ED患者(46人)に二重盲検法のもと、アルギニン(5,000mg/日)またはプラセボ薬を6週間経口投与した。その結果、アルギニン投与群(29人)では勃起障害の有意な改善がみられた。プラセボ薬投与群では改善はほとんどみられなかった。アルギニン投与による勃起障害の改善は、一酸化窒素の産生が低下している患者においてより有効であることが示された。
勃起は一酸化窒素が生成され、血管が拡張し陰茎に入る血液量が増加して起こります。
EDは老化・糖尿病・高血圧・高脂血症・肥満・喫煙・ストレスなどの要因により、勃起をコントロールする神経系・血管系・内分泌系に異常が起こることで一酸化窒素生成量が減少し、血管が拡張しにくくなることで発病すると考えられています。
アルギニンは血管での一酸化窒素生成を回復させるので、EDの改善に効果が期待できるのです。
Minerva Med., 2001; 92: 285-287
ED患者(116名)のうち一方にはバイアグラのみを、他方にはバイアグラとアルギニンを投与した。その結果、バイアグラのみの投与群よりバイアグラとアルギニンを一緒に飲んだ群の方がED改善効果がより優れていた。
ED治療に用いられるバイアグラやレビトラ、シアリスはEDの症状改善に処方されますが、バイアグラとアルギニンを併用することで、バイアグラの効果を増強する効果も期待できることを示したものです。
Trans. Amer. Physicians, 1944; 58: 143健康な人にアルギニンを含まない食事を9日間食べさせると精子数が減少することを示した。
J. Urol., 1973; 110: 311-313男性不妊症の患者にアルギニン(~4,000mg/日)を摂取させたところ治療した患者のうち半数以上に精子数の増加が見られ、28%に妊娠が認められた。
Ginecol. Y. Obstet. de Mexico, 1993; 61: 229-234アルギニンは精子の運動性に重要な働きをするポリアミンの生成を増加することによって精子の運動性を高める。
浜松医科大学では、精子の運動性が30%以下であった患者(25例)に対しアルギニンを2,000mg/日摂取させたところ、21例に運動性の改善がみられ、6例に自然妊娠が確認された。
まとめ
- アルギニンもL-アルギニンも同じものである
- 健康を維持するには生成量が不十分でサプリ等で補う必要がある
- 成人は1日4000mg程度の摂取が必要で上限は21000mg
- ヘルペスの人は服用すべきではない
- アルギニンは空腹時の服用がベスト
- 持続力がない為、1日に4~6回に分けて服用が望ましい
- 子宮内膜を厚くしてくれるなどの女性不妊への効果が期待出来る
- 精子数や運動率改善、さらにED改善にも期待が出来る
男性不妊である乏精子症や精子無力症、精子奇形症の改善に期待できるサプリメントは数多く存在し、どれがあなたに合ったサプリなのかはわかりません。
実際に服用してみて経過をみて判断するしか基本的には方法がないからです。
それは女性にも同じことが言えます。
ですから不妊治療には時間とお金がかかり、精神的負担と女性は特に身体的負担がかかります。
不妊治療中は本当に子供を授かれるのか、改善できるのか不安で不安でしかたなく、そのストレスや焦燥感から夫婦間の仲が悪くなり離婚にまで発展するケースさえあります。
そして不妊治療をした当事者たちは、私も含めてもっと早くやっていればよかったと後悔を必ずします。

あなたもできるだけ早く取りかかるべきです。
これを読んでいるということは何かしら改善したいことがあるのでしょう。
精子の質はあなたの努力で改善できますし、しなくてはいけません。
男性は病院に行くことも嫌いですが、その先延ばしは奥様への不安や不満を募らせます。
妊娠できる今という期間をどうか大切にし、不妊治療をスタートさせてください。
数多くの男性不妊を改善できるサプリメント等の中に、きっとあなたに合うものがあるはずです。諦めないでください。

ではどういうアルギニンを選べばいいのでしょうか?
妊娠を目指している男性が服用すべきおすすめアルギニンサプリついてはこちらの記事で説明しております。