
- 40代だけど不妊で悩んでいます。
- 排卵数や胚の質を向上させることができる方法はない?
- 40代男性だけど性欲が減退しています。
こんな悩みにお答えします。
DHEAというものをご存知でしょうか。DHAやEPAに似ていますが全く異なるサプリメントです。
このDHEA、不妊を改善できるかもしれない不妊サプリの最終兵器として注目されています。
- DHEAという40代以降の不妊に効果が期待されるサプリを知ることができる
- DEHAのしっかりとした飲み方が理解できる
- 理解し、服用することで40代でも妊娠の確率が上がる
DHEAとは?

一瞬、危険な薬?って思うようなネーミングですよね。
DHEAとは、デヒドロエピアンドロステロンという人の副腎皮膚というところから分泌される弱い男性ホルモン様作用を有する物質です。
20歳頃にピークがあり加齢とともに低下し、特に女性においてその減少が著明であることから、その補充が抗加齢作用を有する事が知られています。
そのことからDHEAは若返りホルモン、若返りサプリなどと呼ばれてはいますが、それは海外での話。
欧米では一般のサプリメントとして販売されていますが、日本では厚労省が発売を認めていませんので市場では手に入りません。
よって一部病院やクリニックで貰うか、2018年までは個人輸入するしか手に入りません。
DHEAは体内でも合成されています。
分泌量は思春期に急激に高まり20代でピークを迎えますが、その後急激に分泌量が低下し、40代では約半分、80代ではほとんど分泌されなくなってしまうとされます。
つまり加齢に伴い体内のDHEA合成能は低下してしまいます。
- 40代・・・半分
- 80代・・・ほぼゼロ
DHEAの働きと効果
DHEAは、海外では気分を快活にして活力を増進する「若返りの健康食品」として販売されています。
アメリカでは、体内での分泌量が減少したDHEAを補って20代並の状態に引き上げ、特に副作用も無く、若さが戻り、性欲もアップするといわれ、大ブームとなりました。
DHEAは副腎で合成され、後にテストステロン、エストロゲンなどの性ホルモンに変換されています。
テストステロンは男性ホルモンで、精子形成促進、骨・筋肉増殖作用を持っています。
一方エストロゲンは女性ホルモンであり、子宮の発育肥大などに関与しているものになります。
DHEAは体内で性ホルモンに変換されることから、性機能改善を目的として使用される場合もあります。
DHEAは弱い男性ホルモン作用を持ち、卵胞の細胞内でテストステロン(男性ホルモン)やエストラジオール(女性ホルモン)の元になります。
男性ホルモンは排卵誘発剤に反応する前の小さな卵胞の発育に重要である事などが報告されています。
またDHEAはミトコンドリアでのエネルギー産生を制御しているタンパク質の働きを強める作用を持つと言われています。
不妊とミトコンドリアについてはこちらの記事で詳しく説明していますが、生殖機能はミトコンドリアの力で活動していますので、関係は深いです。
これらの事からDHEAが卵胞内のホルモンやエネルギーの産生に重要であると考えられてきました。
DHEAは加齢に伴い分泌量が低下してしまうため、逆に補充すれば卵胞の発育能が上がるのではないかという考え方が出てきたのです。
およそ3ヶ月程度のDHEAの摂取により、血中AMH量の増加、採卵数、胚の質や妊娠率が有意に増加するという報告もあります。
まとめると以下が一般的に言われている効果です。
- 卵巣機能が低下した不妊患者の治療成績を改善
- 更年期障害に対する効果
- ダイエット効果
- うつに対する効果
- 筋肉をつける
- 免疫力を高める
DHEAの副作用
DHEAは生体内で合成されるホルモンであるため、サプリメントとして摂取しても安全であるという考えがありますが、DHEAはステロイドの一種でもあって、実際は多くの副作用が報告されています。
副作用としては、女性に男性ホルモンの過剰作用である多毛症、顔面皮脂分泌量増加、皮膚炎が現れることがあります。
男性ホルモンの過剰作用が女性に多く見られるのは、普段体内で男性ホルモンをほとんど合成していない女性が、DHEAを摂取することで、一時的に多量のDHEAが男性ホルモンに変換され、急激に男性ホルモンの量が増えるためと考えられています。
男性はもともと男性ホルモンを体内で合成しているので影響が少ないといわれています。
ただし、長期連用後の服用中止による倦怠感、肝炎、不整脈などが報告されています。
さらに長期摂取による安全性が確立していないため、長期摂取後の摂取中止によりステロイド特有のリバウンドが起こる可能性もあります。
DHEAは、DEHAアレルギーの人はもちろん摂取してはなりませんが、乳癌・前立腺癌・卵巣癌患者の方も癌の進行を早める恐れがあるため摂取禁忌です。
また妊娠している女性の摂取も推奨できません。

ドーピングの一緒であって、注意事項が非常に多い薬故に規制がたくさんあるんです。
DHEAの注意点
DHEAの効果については多くの研究者がその効果を認めてはいるものの、人を用いた投与試験では、効果が有ったか無かったかという判断が使用者の主観的な判定により行われているため、客観的なデータに乏しいのが現状です。

その理由として、若さや性欲は本人のみが感じることであり、第三者による客観的な評価が難しいという点があげられます。
インターネットの販売サイトでは、効能ばかりがアピールされ、誇大表記になってる部分があるので注意してください。
DHEAの服用期間は?
DEHAを服用する前に、血液検査をし、医師に服用をしてみたいことを相談するのが最も良い方法です。
血液検査の検査項目はDEHA-sとテストステロンになります。
DEHAを体内でホルモンとして変換できるかどうかが重要です。
それには服用してみて血液検査で経過を判断する以外に方法はありません。
もちろん自己責任ですので血液検査をせず服用だけで判断している人も実際にはいます。
経過結果は1か月でホルモン変換しているかどうかをある程度判断できると思われますので女性が服用する場合は1か月まずは服用してみてください。
ただ、不妊の場合、投与80日以内が効果が高かったり、6か月くらい服用を継続することで改善が見られたなど報告内容は様々です。
男性の場合は精液改善でDHEAを服用する人が多いので、精子が作られ射精まで必要な3か月を目安に服用することをおすすめしますが長期連用はまず控えてください。
DHEAはどのタイミングで服用すべきか?
一般的に医師の処方の場合は1日25mg程度を服用するよう勧められます。
ですので初めて使う方はまずは1日25mgから始めて、様子を見て1日75mg程度まで摂取量を増やしても大丈夫です。
目安の上限は100mgになります。
またDHEAは脂溶性になりますので、食後に服用するのがベストなタイミングと言えるでしょう。
吸収率というものは医薬品やサプリメントに関して、濃度と同じくらい重要なものです。
せっかく飲むのであればしっかり吸収できる方法やタイミングで摂取することを心がけてください。
そうすることで費やした時間やお金を無駄にすることもありませんし、不妊治療や精子改善の期間を短くできるかもしれません。
卵子や精子にDHEAが与える影響
DHEAは日本では一般的に流通していません。それは安全性がまだ確立されていなことを意味しています。
副作用や注意点でも記載したとおり、ドーピングの一種ですので、その他のサプリメントと比べると副作用や危険性が上の成分になります。
しかし、その反面、生殖機能に対する効果は非常に高い数値を叩き出してします。
それでは論文等を交えて説明していきます。
ホルモン作用は多様で更年期以後の女性や高齢男性に好んで用いられていましたが、卵巣機能の低下のある方、高年齢(40歳以上)の不妊症に対しても有効であるとの報告が多数発表。
ある病院で40歳以上で卵巣予備能が悪く、FSH上昇をみるIVFの患者に、このDHEA50mg(2錠)を1日分として2ヶ月間投与して、採卵を行なったところ、11例中3例に妊娠が成立。この時には、その前周期と比べて良好卵数の増加など明らかな改善が認められた。
いずれも40歳以上である点に注意してください。
DHEAは40歳未満の人が服用することを禁止とまでは言いませんが、推奨されてはいません。
40歳未満ですと体内で合成されるDHEAの量が十分であるという考えからです。
とはいえ不妊に対して妊娠成立まで至ったことは非常に期待が持てる内容です。
8つの研究における878名の体外受精症例において、DHEA内服群と無治療あるいはプラセボ群では生産率や妊娠継続率が1.88倍に増加した。この結果から無治療あるいはプラセボ群での推定される生産率/妊娠継続率は12%、DHEA内服群では15-26%であると考えられる。この論文では卵巣が低反応である体外受精患者さんは、DHEAあるいはテストステロンによる治療が生産率上昇につながる可能性があるが、更なるデータの蓄積が必要だと結論。
卵巣予備能が低下している場合、DHEA投与は卵巣機能を改善し、妊娠率を上昇させ、胚の異数性を低下させることで流産率を下げる。また動物実験においてアンドロゲンが前胞状卵胞の発育を増加させ、閉鎖卵胞を減少させることが示されている。
この二つに共通していることは、卵巣の機能が低下してきているということです。
つまり卵巣刺激をしても卵巣が反応しない場合にDHEAを服用することで効果があるとされています。
よってDHEAを誰でも服用すればいいのではなく、卵巣機能が低下している場合、40歳以上の場合など一定条件の場合にDHEAの服用は意味があるとされています。

そしてここまで、女性の卵子に関するものしか出てきていないことにお気付きでしょうか?
そうです、男性の精子に関するDHEAのエビデンス(証拠)は今のところありません。
上述もした通り、若返りホルモンと言われてはいますが、それは服用している本人しかわからないことであり、第3者が客観的にその改善点をデータとしてとらえることが難しい点が理由としてあります。
またサプリとしてアメリカのみが市販で流通していて、世界的にデータをもっと積み上げていく必要があります。
DHEAを24週間(6ヶ月)摂取したところ、勃起不全、機能、性欲、満足感が改善した。
このような報告もないことはないのですが、こういう報告が多少出てきたからといって=証拠とはなりません。
論文というものは誰かが論文を出したらそれを世界中が検証に走って正誤を確かめるわけです。今現在DHEAと精子改善についてのエビデンスはないと考えてください。

ではなぜ、DHEAが精子改善にもいいと言われてしまっているのでしょうか?
今では個人で服用した結果などをネットで配信できる時代です。
DHEAだけでなくサプリを飲んでこれが私はよくなった、改善したという情報が嘘だか本当だかわからない中、出回ってしまう時代です。
もちろん中には本当に精子力が改善した人もいるでしょう。DEHAを服用して精子が数倍よくなったとか、精子数が何倍にもなったとか。
しかし、効果がない人も当然います。ネットの情報は正しいのかどうかをしっかり判断するべきです。
DHEAはどこで手に入れることができるのか?
不妊の最終兵器の呼ばれる医薬品サプリ「DHEA」はどこで購入することができるのでしょうか?
不妊で悩んでいるご夫婦はなんでもいいから良いと言われているものを試したくなる気持ちになるのは十分理解しています。
しかし、DHEAは簡単に手にすることができなくなっています。
DHEAの個人輸入規制が2019年よりスタート
「集中力を高める」や「頭がスッキリする」など、脳の機能等を高めることを謳って海外で販売されている医薬品等の製品、通称スマートドラッグについて、厚労省では原則として予め薬監証明の交付を受けない限り一般の個人による輸入は認めない方針を決め、2018年11月26日付けで、通知を発出しました。
今回規制の対象となったのは25の成分で、薬物依存等に関する研究を行っている団体の専門家の意見や厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において検討した結果、医師や薬剤師等の専門家が関与せずに安易に使用することによって健康被害や乱用につながる恐れが高いとまとめられたものです。
その25の成分にDHEAが含まれています。
これにより、平成31年1月1日から、その成分を含む、海外で販売されている医薬品や食品等については、海外からの入国者が国内滞在中の自己の治療のために携帯して輸入する場合を除いて、数量に関わらず、あらかじめ薬監証明の交付を受けない限り、一般の個人による輸入は認めないことになってしまいました。

そうです。もう個人でDHEAを購入することができません。
日本では病院処方のみ購入可能
規制で輸入できないなら手に入れる方法は「病院処方」の1つしかありません。
不妊のためにDHEAの服用を許可または推奨された場合、処方されますので、それ以外で手に入れる機会は日本ではありません。

医師の中にはDHEAを良く思わない人も当然いますので、そこは理解していた方がいいかと思います。
DHEAに近いサプリや食品食材はないのか?
DHEAを個人で手軽に購入できる時代は終わりました。しかし、落胆しないでください。実はDHEAに類似している、規制のかかっていないサプリメントが存在します。
それがヤマイモ抽出成分である「ジオスゲニン」です。
古くから滋養食材として親しまれ、 多岐に渡る機能性からスーパーフードとして脚光をあびる山芋。 その山芋に含まれる成分がジオスゲニンです。
ジオスゲニンは若返りホルモンとも呼ばれるDHEAと構造が似ていることから、 食品として安全に摂取できる代替成分として現在期待が高まっています。
DEHAを服用してみたかったのにと思っていたご夫婦は試してみる価値はあると思います。
まとめ
- DHEAは海外では医薬品として流通しているが日本では法律上まだ流通していなく、病院でしか手に入らない
- DHEAは20代でピークになり、40代ではその半分程度にまで減る
- ホルモン様作用があるので若返りサプリとして海外で人気
- DHEAは40代以上の女性の排卵数や胚の質に影響するとされる
- 男性にはED、性欲、精子数、精子運動率改善に効果がある報告は多数あるもののまだまだ確立された証拠が揃っていない
- ドーピングに分類される物質なため、服用には十分注意が必要
- 食後に服用がベストタイミングで、1日100mgが上限とされる
DHEAは海外ではサプリメントとして市販されていますが、日本では医薬品の指定を受けているため国内で食品として販売することは法律で認められていません。
しかし医薬品として製造もされていないのが現状です。
また海外から輸入するサプリメントには表示通りの成分を含んでいないものも多数あると言われています。
中にはDHEA0%のものもあったそうです。(2018年まで個人輸入可)
DHEAは条件に合う人が服用すれば効果が高く表れ、その反面副作用や危険性が伴います。そのためDHEAは諸刃の剣とはよく言われます。
もし不妊治療をしている旦那様がDHEAを服用してみたいと医師に相談したら半分はダメですと言われるかもしれません。
男性の場合、40歳以上で、DHEAを男性ホルモンと女性ホルモンにバランス良く体内で変換できる人だけ服用すべきで、それを個人だけで判断するのは不可能ですから医師と相談した上で、経過を診ながらにするべきです。
それでも個人で手に入れてDHEAを服用する男性もいるとは思います。
男性不妊の気持ちは痛いほど分かりますので、どんな副作用があっても精子を改善できるかもしれないならやってみたいと考える気持ちもわかります。
そこは自己責任ですので私からどうこう言えませんが、その場合、長期連用は避け、おかしいと思ったらすぐ服用はやめてくださいね。
しかし安心してください。DHEAの代替品であるジオスゲニンがあります。
ジオスゲニンは天然食材から抽出されたものですので依存性も副作用もなく服用することができるので安心です。
DEHAを服用してみたかったのにと思っていたご夫婦は試してみる価値はあると思います。
参考文献