
- 精索静脈瘤は自然に治りますか?
- 自分で調べたら精索静脈瘤っぽいんだけど自然治癒できますか?
- 病院行くのが嫌なのですが、このまま放置するとどうなっちゃうの?
こんな疑問にお答えします。
精索静脈瘤は男性不妊の最も多い原因として有名です。
それどころか二人目不妊の80%はこの精索静脈瘤が原因とも言われています。
ではもし精索静脈瘤の疑いがあったり、診断された場合どうすればいいのでしょうか?
- 精索静脈瘤が自然治癒するのかどうかがわかる
- 精索静脈瘤をそのまま放置するとどうなるのかがわかる
- 対処することで将来、妊娠する確率が高まる
精索静脈瘤は自然治癒しない
結論から申しますと、残念ながら精索静脈瘤は自然治癒することはありません。
場所が場所なだけに、なかなか相談しずらく、病院へ行くのも遅れてしまうが故、精索静脈瘤は男性不妊の最たる原因であっても、治療の機会が得られない症状です。
精索静脈瘤はその進行具合によって3つのグレードに分けて考えられます。
自覚症状がほとんどなく、気づいたときには症状が悪化していて、グレードの段階が上がってしまっていることはよくあります。
なんとなく違和感があるだけだからちょっと様子をみよう、勝手に治るかもしれないからこのままでいいや、なんて思っているといつの間にか月日が経ち、悪化しているのです。
精索静脈瘤は成人男性の15%~20%ほどに見られる症状で、5人に1人くらいの割合です。

決して少なくはありません。
男性不妊患者を調べるとその40%が精索静脈瘤であることがわかっています。
それどころか二人目不妊と言われる男性の80%近くがこの精索静脈瘤であることが知られています。
一人目の時には精索静脈瘤ではなかったが、それから歳をとり、二人目を作ろうとしている段階で精索静脈瘤が発症しているケースが多くみられるのです。
男性の多くは、子供がなかなかできない不妊=女性が原因と未だに考えている人も多いかもしれません。

そんな時代は終わっています。
今では不妊原因の割合は男女で半々です。
男性の検査は女性に比べると、身体的にも、精神的にも楽ですので、奥様だけに不妊治療をしてもらうのは間違いです。
一緒に不妊外来へ行くか、旦那様だけ先に、検査をすることを強くお勧めします。
精索静脈瘤を放置するとどうなるのか?
では精索静脈瘤を治療せず、そのまま放置するとどうなってしまうのでしょうか?
精索静脈瘤は自然治癒することはなく、治療が必要となります。
治療には2つあり、薬物療法と手術です。
まだ精索静脈瘤が軽度の場合は薬物療法で治療を進めて経過を診ていきます。
重度やその手前付近の状態であれば手術に踏み切ります。
後者の場合に、薬物療法をしたとしても改善できる可能性は低いと判断されます。
そういう理由もあり、違和感を感じた時点で早期に受診することをお勧めします。

できることなら誰しも手術は避けたいですもんね。
しかし、恥ずかしさからか、認めたくないからなのか、そのまま放置してしまう人も当然いらっしゃいます。
精索静脈瘤をそのまま放置した場合、腫れていた状態から精巣萎縮する場合があります。
精索静脈瘤はその9割は左側で見られますが、腫れていたはずの左陰嚢がいつの間にか小さくなっていたら可能性があります。

治りかけと勘違いしないでください。逆です。
さらに放置を続けてしまうと、手術でも回復しないこともあります。
進行することで精巣へのダメージが徐々に蓄積されていきます。
精巣へのダメージにより、精子DNAを損傷しますので、自然妊娠どころか顕微授精をしても受精、着床、妊娠継続に不利になる可能性が高まります。
さらに、精巣機能が悪化して男性ホルモンが低下すると、不妊のみならず将来更年期障害を起こす原因にもなります。
そして一人目が生殖補助医療で妊娠しても、二人目でさらに高度な生殖補助医療が必要となる可能性があり、不妊治療にかかる費用と時間の消費が大きくなります。
つまり、放置することで、結婚していようがいまいが、将来あなたの子供を授かる可能性が非常に低くなるということです。

その場合、奥様はどう思われると思いますか?
奥様はあなた以上に子供を欲しがるでしょう。
奥様には何の原因もないのに、二人の間には子供ができない。その原因は旦那様であるあなたにあるとわかっているのに。
精索静脈瘤を侮ってはいけません。そして治療は早いに越したことはありません。
精索静脈瘤の疑いがある場合どうすればいいのか?
では精索静脈瘤の疑いがある場合どう行動すればいいのでしょうか?
精索静脈瘤であると診断された場合はもう受診していますので、そのまま医師の指示に従って治療を進めればいいのですが、問題はまだ病院で診てもらっていない段階の場合です。
男性の精巣周辺は女性で言う乳房と同じです。
非常にデリケートな問題で、そこにメスを入れる手術ということを考えただけでも一歩引いてしまいます。
ですからこれから検査をしようと決断するだけでも相当な覚悟と時間が必要かもしれません。
検査の予約ができたとしても、検査当日、怖くなってキャンセルすることだって考えられます。男性は時として、非常に弱い一面があります。
ではどうすればいいのか?
誰かに打ち明けて相談してください。
決して一人で検査や治療を進めてはいけません。何故なら逃げることができてしまうからです。
それは奥様であり、彼女であり、ご両親でもいいです。
検査の結果、もし手術が必要な時、一人であれこれ悩まずに相談相手にも話しましょう。
そうすることで怖さが多少和らぎます。
手術をするという覚悟を決めるのは相当大変だと思います。
しかし、手術をしないことには治すことできず、子供を諦めなくてはいけなくなるかもしれません。

その手術を後押ししてくれる相談相手をまずは作ってください。
もしあなたが今、精索静脈瘤であるかどうか疑っている場合、まずは自己診断してみましょう。
それで受診した方がいいと判断したら迷わず病院へ行ってください。
まずは受診する、病院へ行く、検査を受けるという最初の壁を突破しましょう。
症状がまだ軽度のグレード1・2の場合は薬物療法でも回復の可能性はあります。
精索静脈瘤に用いられる漢方薬やサプリ【治療・改善・予防方法】でまとめていますのでご覧ください。
まとめ
- 精索静脈瘤は自然治癒することはない
- 治すには薬物療法か手術しかない
- 精索静脈瘤をそのまま放置すると手術でも回復しないことがある
- 放置することで精子DNAを損傷することに繋がり将来子供を諦めなくてはいけない可能性が出てきてしまう
- 検査を受ける、受診することがまず第一歩
- 一人で悩まず必ず誰か相談相手を作ること
価値観は人それぞれです。しかし、ほとんどの女性は子供を欲します。当然男性もそうです。
私も男性不妊と診断されてから、色々と悩み苦しみましたが、どうしても子供を諦めることができませんでした。
世の中には子供が心から欲しくてもできないご夫婦はたくさんいらっしゃいます。原因が精索静脈瘤であるとはっきりとわかっているのに、手術をしない選択を選ぶのはおそらく信じられないことでしょう。
原因がわからず子供ができない人にとっては、原因がわかることだけでも羨ましい気持ちになります。
手術をするには相当の覚悟が必要かもしれませんが、奥様の為、将来の幸せな家庭の為に、早目に治療を開始するべきです。