まさか育毛剤で無精子症になるなんて!【妊娠希望なら禁忌レベル】

不妊知識

 

スパーム
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これから妊娠を考えているんだけどやってはいけないことってあるの?

夫が育毛剤を使用してますが、妊娠に影響はありますか?

精子の質を悪くしてしまう薬ってあるの?

こんな疑問にお答えします。

男性特有の悩みは色々とありますが、精力の悩みと同じくらい深刻に悩む症状に薄毛があります。

30代以降、早い人だと20代から薄毛に悩まされ、なんとかこの薄毛を解消できないか、薄毛さえ治ってくれればと育毛剤を使うことが薄毛解決の1つになっているのではないでしょうか。

実はこの育毛剤、男性不妊の原因になります。精子への悪影響があることを学んでいきましょう。

この記事でわかること
  • 一部の育毛剤が精子に悪影響であることが理解できる
  • 妊娠を妨げる要因を除外することができる
  • 結果的に、妊娠の確率が高まる

男性不妊と育毛剤

育毛剤はタバコや過度のアルコールと同じように男性不妊の原因となり得るものの1つです。

これから子供を望んでいるご夫婦にとっては非常に心配な内容だと思います。

育毛剤は男性の精子にどのような影響を与えるのでしょうか。

育毛剤の精子への影響

男性ホルモンの一種であるテストステロンというものがあります。

男性にはもちろん、女性にも少量分泌され誰もがもっているホルモンです。

少し難しい説明になりますが、このテストステロンに5αリダクターゼという酵素が結びついた時に生成されるのがジヒドロテストロンというホルモンです。

ジヒドロテストロンには毛髪の元となる細胞(毛母細胞)の働きを低下させる作用があることから、薄毛と関係の深いホルモンと言われています。

育毛剤を使用するとこのジヒドロテストロンを低下させます。

あれ、毛母細胞の働きを低下させるホルモンが低下するならいいんじゃないの?と思いますよね。

しかし、ジヒドロテストロンは精巣の精子形成に影響することがラットの実験で知られています。

また、前立腺も抑制するため前立腺で作られる精液も減少します。

日本人の約30%の男性が男性型脱毛症というデータがあります。育毛剤は泌尿器科学会の指針で精子に与える悪影響はないとされてきましたので、特別な警告は今までなされてきませんでした。

しかし、育毛剤は精子のDNAにダメージを与え、無精子症の段階まで悪化させてしまうケースがあります。

育毛剤が精子に悪影響とされる論文

論文を2つご覧ください。

乏精子症のため人工授精を行っていた男性の精子がプロペシア使用後ゼロになり(精液も少なくなり)、プロペシアを中止してから精子も精液も復活。(Fertil Steril 2011; 95: 1786.e9-11.)

4回の流産および化学流産を繰り返した妻(37歳)の夫(48歳)の精液所見は正常でしたが、30%の精子にDNAダメージ(DFI法)があることが発覚。使用していたプロペシアを中止したところ、3ヶ月でDFIが21%、16.5%と回復。(Fertil Steril 2011; 95: 2125.e13-14.)

上記2つの論文は育毛剤プロペシアが精子に悪影響を及ぼし、しいてはDNAへのダメージを与えることを示したものになります。

ただし、当然精液所見が正常であっても何かしらの要因で精子DNAへのダメージはあります。

どの育毛剤が男性不妊の原因になるのか

育毛剤といっても全ての育毛剤が男性不妊の原因となるわけではありませんのでご安心ください。

男性不妊の原因になり得ると言われている育毛剤は、クリニックや病院で処方されている一部のAGA男性型脱毛症治療薬になります。

基本的に医師の処方箋がなければ購入できない医薬品なのですが、個人輸入で手に入れられる医薬品でもあり、ネットで購入することが可能です。

男性不妊になる育毛剤 プロペシア

そのAGA育毛剤の1つがプロペシアです。

プロペシアは世界の60か国以上で承認されている有名な治療薬です。

1年間の服用で約50%以上に薄毛の改善効果が見られたという臨床試験結果も報告されているほど高い育毛効果が認められており、病院で処方される代表的なAGA治療薬になります。

プロペシアには男性ホルモンを抑制する働きがあり、これが薄毛の改善につながります。

しかし副作用として精子数や精液量の減少、ED、性欲減退といった副作用があり、効果のある育毛剤ではありますが、男性不妊を招く育毛剤としても有名です。

男性不妊になる育毛剤 アボルブ

AGA育毛剤の2つめがアボルブです。

前立腺肥大症の治療薬として使用されていたところ、前立腺肥大と薄毛はほぼ同じ原因を持つので、薄毛治療にも処方されるようになったものです。

アボルブはプロペシアの効果が思わしくない場合に使用されることが多く、プロペシアよりさらに男性ホルモンを抑制する働きが強いと言われています。

その分だけ精子数や精液量の減少、EDといった男性不妊リスクも大きくなります。

男性不妊になる育毛剤成分 フィナステリド

フィナステリドというものがプロペシアの主成分になります。

フィナステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンへと変化させる酵素の働きを阻害します。

使用をやめれば精子への影響がなくなるのか?

では男性不妊を招く育毛剤であるプロペシアやアボルブを辞めれば男性不妊への影響がなくなるのでしょうか?

プロペシアやアボルブも以前は使用をやめさえすれば精子の状態が回復して妊娠可能と言われていました。

「妊活を始める3ヶ月前に使用をやめれば問題はありません」とする説が当然のように浸透。

しかし近年では使用を中止して数年経っても副作用が続いているというケースがあり、妊娠を希望する男性は使用を控えた方が良いと言われています。

自分は大丈夫という根拠のない自信で、もし無精子症のレベルまで悪化してしまっては妊娠どころの話ではなくなってしまいます。

育毛剤の使用には十分注意が必要です。

市販ドラッグストアの育毛剤は大丈夫?

ではクリニックや病院で処方される育毛剤ではなく、ドラッグストア等で売っている市販の育毛剤は男性不妊への影響はないのでしょうか?

プロペシアやアボルブとは関係ないドラッグストアの育毛剤については今のところ男性不妊との関連は指摘されていません。

ただし体に使用するものですから体調などによっては何らかの副作用が起こる可能性は当然あります。

ドラッグストアで医薬品を販売している私が言うのはおかしいですが、医薬品というものは基本的には人の体内にはない成分を体内へ入れるわけです。

医薬品は大きな意味で毒と同じです。

何かしらの副作用が起こる可能性はあって当然なのです。

まとめ

まとめ
  • 育毛剤は精子DNAへダメージを与えてしまい、最悪の場合無精子症のレベルまで悪化させてしまうケースもある
  • 特にプロペシアとアボルブはこれから妊娠を目指す場合、使用してはいけない
  • 育毛剤の使用を中止したとしても回復しない場合もある
  • 市販の育毛剤であれば成分的には問題ない

薄毛は男性の場合、非常に悩ましいものであることはわかります。

私もドラッグストアで働いている身ですので、育毛剤を買い求めて来る男性は多くいることも知っています。

リアップなどが有名ですね。特に20代という若さで薄毛で悩む男性はなんとか薄毛を解消したいと思うはずです。

しかし、育毛剤の中には男性不妊を招くものもあります。

薄毛の治療は子作りを終わらせてからでも遅くないのではないでしょうか?

またどうしても育毛剤を使用したい場合は、上記の商品や成分ではないことを確認した上で利用するべきと考えます。

無精子症に関してはこちらでまとめていますのでご覧ください。

 

参考文献

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