このままじゃダメだ【肥満は男性不妊の原因に】太りすぎは精子を悪くする

不妊知識

 

スパーム
スパーム

太っていることで妊娠に影響はあるの?

肥満が原因で精子が弱る事ってあるのかな?

これから妊活予定なのですが、自分でも注意出来ることはありますか?

こんな疑問にお答えします。

男性不妊を調べると原因の1つに肥満が出てきます。肥満は男性の精子にどのような影響があるのでしょうか?

なかなか妊娠しなくて悩んでいるのはあなたの肥満が原因かもしれません。

この記事でわかること
  • 肥満かどうかを判断する方法がわかり、あなたが太っているかがわかる
  • 肥満が精子や妊娠に悪影響であることが理解できる
  • 夫婦が太りすぎを解消することで妊娠の確率を上げることができる

肥満を表す2つの指標

肥満と精子の影響の前に、まずあなたが、あなたの旦那様が肥満なのかどうなのかをまず知りましょう。

肥満に関する指標としてメタボリックシンドロームとBMIがあります。

メタボリックシンドロームとは?

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が増え、生活習慣病や血管の病気になりやすくなっている状態をいいます。

動脈硬化が進行すると、日本人の死因で多い急性心筋梗塞や脳卒中などの血管性病変を発症するリスクが高まります。

こうした重篤な病気の予備軍を早期段階で発見・治療したり、予防したりするために設定されている病名がメタボリックシンドロームです。

メタボリックシンドロームは、運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が原因で起こります。

メタボリックシンドロームかどうかの診断の基本は、ウエストのサイズです。

ウエストサイズは、内臓脂肪の蓄積状態を知るためのひとつの目安となります。

下記の腹部肥満の基準は、内臓脂肪面積100㎠に相当するウエストサイズであることから決められたもので、中性脂肪やコレステロール、血圧、血糖などについても、次のような基準が設定されていますので参考にしてください。

腹部肥満ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上
中性脂肪値・
HDLコレステロール値
中性脂肪値 150mg/dl以上
HDLコレステロール値 40mg/dl未満
(いずれか、または両方)
血圧収縮期血圧(最高血圧) 130mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧)  85mmHg以上
(いずれか、または両方)
血糖値空腹時血糖値 110mg/dl以上

ウエストのサイズは家でも簡単に調べることができる指標ですね。

BMI値とは?

BMIとは「Body Mass Index」の略で身体の大きさを表す指数になります。体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割った値です。計算機で計算する場合にはBMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)となります。

こちらで数字を入力すれば計算してくれます。

疾病率が最も少ない、理想的なBMI値は22とされています。WHO世界保険機構のBMI基準値を見てみましょう。

状態
痩せすぎ16.00未満
痩せ16.00以上、16.99以下
痩せぎみ17.00以上、18.49以下
普通体重18.50以上、24.99以下
前肥満25.00以上、29.99以下
肥満(1度)30.00以上、34.99以下
肥満(2度)35.00以上、39.99以下
肥満(3度)40.00以上

あなたは肥満度どれくらいでしたか?

自分の肥満の程度を知った上で、肥満と精子の関係をこれからご説明していきます。

肥満が及ぼす精子への影響

2016年に世界中で肥満の子ども(5~19歳)が推定1億2400万人に達しているとの報告がありました。

その数は日本の総人口に匹敵しています。

さらに肥満ではないものの太り気味とみられる層が推定2億1000万人いる一方、痩せ気味や痩せ過ぎの子どもたちは1億9200万人いるそうです。

肥満の女性が妊娠しにくい点については従来から知られていますが、男性にも同様の傾向があります。

受胎時の親の肥満が、胚の健康、移植、妊娠、出生率に悪影響を及ぼしているのです。

精子への影響

指数上で肥満の男性=BMI30以上の場合、そうでない男性陣と比べて精子の量が少なく、精子の数や濃度、女性の生殖管をすばやく移動する運動率においても低いことが判明しています。

また、肥満男性の精子の奇形として、頭部が薄かったり、洋梨状に細長かったりする傾向も見られ、これらの異常が性交や体外受精による着床をより困難にしている可能性が示唆されました。

肥満は、精子の量・数・運動率・濃度ともに全てにおいて低下させるということです。

さらに奇形率を上昇させ、DNAへのダメージが増加するという深刻な状態となります。

肥満が精液所見を悪くする原因

なぜ肥満が精液所見を悪化させるのかはまだ全てを解明できていません。

あくまで推測となりますが、肥満になることで身体の代謝機能が低下してしまうということ、精巣周辺の脂肪組織が精巣の温度を上昇させてしまうことが原因と考えられています。

精巣は熱に弱いことはこちらの記事で詳しく説明しています。

肥満が精液所見を悪化させるという論文

それでは以上の根拠となる論文をいくつか載せていきます。

クリニック訪問者450名の男性の精液所見とBMIを調査。BMI25~29.9肥満度1は、精子の直進運動率と有意な負の相関を示した。不動精子率と有意な正の相関を示した。またBMI30以上肥満度2以上は精液量、精子濃度、運動性精子数と有意な負の相関を示した。腹囲102cm以上は精子濃度、運動精子数と有意な負の相関を示した。

この論文はBIMが高いことで精液所見が悪くなることを示しています。

ウエストサイズについても書かれていることからメタボリックシンドロームとの関連性も示唆しています。

米国の2つの州から501組の不妊症カップルを抽出し長期的に追跡調査。このうち男性468名が研究に参加し平均年齢31.8歳、平均BMI 29.8、平均腹囲100.8cm、82%がBMI25以上で運動は週1回未満。精液量はBMIと腹囲と有意な負の相関を示す。総精子数は腹囲と有意な負の相関を示す。精子濃度、運動率、正常精子携帯はBMI・腹囲との関連を示しませんでした。

肥満と精液所見の関係について様々な報告がありますが、なかなか結論は得られていませんでした。

そんな中この論文は、精液量と総精子数が肥満と関連することを示しています。

114組172周期の体外受精・顕微授精で、男性のBMIがどのように影響するか調査。体外受精ではBMIが高い男性の受精率が有意に高くなっていた。顕微授精では、受精率、妊娠率に有意差を認めませんでしたが、BMI18.5~24%群と比較して生産率がBMI25~29%群で0.40倍、BMI30以上群で0.16倍と有意に低下

0.16倍低下はそこそこ大きな違いです。

顕微授精というものは男性精子の能力が直で問われる技術です。

量ではなく質ですから。

結果は様々ですが、以上の論文からも肥満が精子に悪影響を与えており、妊娠を妨げる要因の1つになっている可能性は低くはありません。

まとめ

まとめ
  • ウエストサイズやBMI値で肥満かどうかがわかる
  • 肥満は精子の量、数、運動率、濃度を低下させ、奇形率を上げる原因
  • 男女の肥満が不妊に繋がっている

世界でも肥満は深刻化してきています。

現代人の問題点として運動不足、栄養不足、疲労やストレスの蓄積の3つがよく取り上げられていると思います。

そしてその3つがいつの間にか男性の精子にも悪影響を与えていて、全世界の精子数が減少しています。

日本でも、技術の進歩で足をや身体を使う機会が減り、流通の進歩で世界中のおいしい食事を食べることができる一方で栄養バランスの良い日本食を食べる機会が減少し、人口の減少で人手不足の中、疲労やストレスが溜まっていく一方です。

今回は肥満についてクローズアップしてみましたが、体重をコントロールして栄養もコントロールすることが健康維持には必要です。

そしてそれが精子力にも繋がっていきます。

一度自分の管理を見直してみてください。それが精子改善につながるはずです。

 

参考文献

タイトルとURLをコピーしました