
- 妊娠しないんだけど、不妊症の定義って何年なの?
- どれくらい妊娠しなかったら検査するべきなのかな?
- 男女で不妊症の割合ってどれくらい?
こんな疑問にお答えします。
- 不妊症と定義されるのは何年なのかがわかる
- 男女別の不妊症の割合がわかる
- 定義と割合がわかることですぐに不妊治療にとりかかることができる
不妊症の定義
不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。
日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。

中には2年という期間であると定義しているところもありますが、それは一昔前の定義であって、1年が現在の定義となります。
旧不妊症の定義
不妊(症)infertility,sterility 生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく性生活を行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。
その一定期間については1年から3年までの諸説があるが、2年というのが一般的である。一度も妊娠しない原発性不妊と、過去に妊娠、分娩した経験のある婦人がその後妊娠しない状態となった続発性不妊とがある。
また、不妊の原因によって男性不妊と女性不妊と分ける場合もある。
一昔前の不妊症の定義は2年とされていました。
新不妊症の定義
不妊(症)infertility,(sterility) 生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。
その一定期間については1 年というのが一般的である。
なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。
こちらが今現在の不妊症の定義になります。今では1年という性交を行っても妊娠しない期間で不妊症と定義されています。
不妊は日本だけではなく、世界中で問題視されていて、精子の数など、精子の質が全体的に低下していることが原因と言われています。
WHOや欧米諸国での不妊症定義
以前、日本では不妊症の定義は2年だったのですが、その頃からWHO(世界保健機関)や欧米諸国では不妊期間は1年が一般的でした。
不妊症の診断が遅れればそれだけ治療効果に影響が出る可能性があるので、日本もそれに習って1年と変更をしたのでしょう。
さらに日本産婦人科学会は、「妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」という一文を加え、介入の必要性が明らかな場合は、期間に関わらず不妊症とすることを明記しています。
不妊症における男女の割合
- 原因が女性のみ・・・41%
- 原因が男性のみ・・・24%
- 原因が男女とも・・・24%
- 原因不明・・・11%
不妊症=女性が原因と勘違いしている人が多いですが、グラフを見てみてください。女性だけが原因の割合は41%。
男性のみだと24%と女性より低く見えますが実際のところ男女とも原因の場合を含めると実に50%近くは男性が原因の不妊症なのです。

私も不妊症は女性のものであると間違った認識でいました。
そのせいで検査が遅くなり、無駄な時間を費やしてしまったことを今でも後悔しています。
また、これだけ医学が発達しているにも関わらず原因不明が11%もあることに恐怖を覚えます。妊娠出産は奇跡と言われますが本当にそう思います。
女性に排卵がなかったり、子宮内膜症を合併していたり、過去に骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると妊娠しにくいことが分かっています。
このような場合は、上記の定義を満たさなくても「不妊かもしれない」と考えて検査や治療に踏み切った方が良いこともあります。
子宮内膜症は私の周囲でもよく耳にしますので意外と女性に多い症状なのかもしれません。
男女とも加齢により妊娠が起こりにくくなることが知られており、治療を先送りすることで成果が下がるリスクを考慮すると、一定期間を待たないですぐに治療したほうが効果的である場合もあります。
不妊のカップルは約10組に1組と言われていますが、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、この割合はもっと高いと言われています。
不妊の統計などは毎年行われるものではないため、データが数年前のデータであることもあります。
近年は晩婚、いわゆる30過ぎでの結婚が増加しているため、35歳を過ぎてからの妊娠出産が増加しています。
今では不妊のカップルは6組に1組と言われているそうです。実際、私が通ったクリニックでは6組に1組程度と言われていました。
- 日本の出生数と合計特殊出生率の推移
- 母親の年齢割合の推移
共に厚生労働省からのデータです。
約10年間で母親の年齢が35歳以上の出産の割合は倍増しています。
晩婚化や精子力の低下が原因となり年々高齢となってきているのがわかると思います。
一般に、女性がもっとも妊娠しやすい年齢は20歳前後であり、30歳台後半以降は年齢を重ねるにつれて妊娠が難しくなるとされており、45歳を過ぎると妊娠の可能性はほぼなくなるといわれる。
男性は女性よりも比較的ゆっくりとではあるが35 歳頃から精子の質の低下が起こるとされ、男性の不妊の原因としては性機能障害、精子の数や運動率の低下などがあります。
加齢による精子や卵子などの生殖機能の質を少しでも良くする為にできることもありますので、参考にしてみるのもいいでしょう。
不妊当事者にしか気持ちはわからない
不妊治療は患者の年齢や疾病に応じて治療方法が異なり、不妊治療を受ける患者は身体的な苦痛や精神的な落ちこみ、経済的な負担などの悩みを抱えています。
これらの悩みは家族、友人など親しい人にも打ち明けづらい場合があり、妊娠・出産に効果的とする治療などの情報が氾濫していることも不妊に関する悩みを深くする要因の1つとなっています。
不妊は男性であれ女性であれ、本当に他人には相談できない悩みです。もし相談できる友人等がいる人は本当に恵まれていると思います。
中には不妊という悩みを軽く考える人もいますので相談する場合は慎重になった方が後々のあなたへのストレスとならないでしょう。
不妊は夫婦二人が一緒になって協力し合うことが一番大切です。これは私自身が肌で感じたことです。
旦那さんだけ、奥さんだけの不妊治療はストレスが多く、必ずどこかで不満が溜まり、パートナーへぶつけることになります。
そうすると夫婦仲が悪くなり、妊娠への期間も遠ざかりかねません。
不妊治療を開始すると考えた時点で、夫婦で必ず話し合って同時にスタートすることを強くお勧めします。
不妊治療前に夫婦で話し合うべき3つのことについてはこちらをご覧ください。
30人に1人は体外受精で生まれている
不妊定義が1年になったと同時に発表された内容によると、妊娠を希望して1年で80%、2年で90%が妊娠するといわれており、数十万カップルが不妊治療を受けているといわれています。
不妊の心配をしたことがある、または心配している夫婦の割合は、31.3%で、子供のいない夫婦の場合は、52.2%に上ると言われています。
朝日新聞によると、赤ちゃんの約30人に1人は体外受精で生まれている計算になり、1クラスに1人はいると言われている状況です。
まとめ
- 不妊症の定義は1年である
- 男性に不妊原因がある割合は50%近い
- 今では6組に1組が不妊で悩んでいる時代
- 35歳から卵子と精子の質が低下してくる
時間はお金では買えません。妊娠できる年齢は決まっています。
私も含めてですが、不妊治療をしたことのある男女は必ず同じことを思います。「もっと早くやっていればよかった・・・。」と。
治療は時間がどうしてもかかり、その間は非常にもどかしい気持ちでいることが多いです。
まだいい、もう少し経ったらという考えでは手遅れになりかねないということを片隅に覚えておいてください。
参考文献