
風疹やおたふく風邪が流行っているけど注意することって?
予防接種は受けないといけませんか?
風疹やおたふく風邪って妊娠や胎児にどんな影響があるの?
こんな疑問にお答えします。
男性不妊を調べると原因として病気がいくつか出てきます。その中でも有名なのが風疹とおたふく風邪です。
ではこの2つの病気は男性不妊にどう関係しているのでしょうか?
- 男性不妊の原因になる風疹とおたふく風邪について理解できる
- 妊娠初期の妊婦が感染すると胎児に悪影響が出ることがわかる
- 予防接種を夫婦がすることで妊娠の確率があがり、胎児への不安もなくなる
風疹とはどんな病気か?
風疹は毎年ではありませんが何年かに1度流行しています。
免疫の無い妊婦さんにとって脅威となる風疹のことを、妊婦さん以外の方、特に旦那様にも知っていただきたいのでまとめました。
風疹の原因
風疹ウイルスに感染することで起こる病気になります。
患者の咳やくしゃみで飛び散った細かい水滴の中にいるウイルスを吸い込むことで感染する飛沫感染の一種です。
患者の1〜2m以内にいた場合に感染は起こりえます。
空気感染のようにウイルスが空中を長時間漂うことはありません。
空気感染の代表であるはしかや水ぼうそうほど感染力は強くありません。
風疹の症状
- 体のだるさと発熱
- ポツポツとした赤い発疹
- 耳や首の後ろのリンパ節の腫れ
感染してか2週間ほどで症状が表れ、4日間程度上記症状が続きます。
症状だけで風疹と断定することは難しく、抗体検査をしてはじめて確定されます。
子供の方が軽く、大人がかかると発熱や発疹がやや長引く傾向があります。
一度感染し治癒すると大部分の人は終生免疫を獲得するので二度と風疹にかかることはありません。
おたふく風邪とはどんな病気か?
おたふく風邪も毎年ではありませんが定期的に流行します。
おたふく風邪の原因
おたふく風邪は正式名、流行性耳下腺炎といいます。
耳下腺とは顎の横にある唾液を出すためにある組織で、ムンプスウイルスに感染して起こります。
両頬が腫れることから、別名おたふく風邪と呼ばれています。
おたふく風邪の症状
ムンプスウイルスに飛沫感染や接触感染で感染したのち、2~3週間ほどの潜伏期間を経ておたふく風邪の症状が現れます。
おたふく風邪は、耳下腺の周りに炎症が生じることから、発熱が生じることに加えて突然耳の下が腫れたり同部に痛みを伴ったりするようになります。
片側から腫れることが多く、1~2日ほどのタイムラグを経てもう片方の耳下腺も腫れるようになります。
おたふく風邪は症状が必ず現れるわけではなくおよそ3割のお子さんは、ムンプスウイルスに感染しても症状が現れません 。
風疹やおたふく風邪で男性不妊になるのか?
風疹やおたふく風邪で男性不妊になる可能性はあります。
原因でもっとも大きいのが高熱です。
両病気ともに高熱が数日の間ひかないという症状がでる可能性があります。
そして精子=精巣は熱に弱いです。高熱が長期続くことで精巣も温められ、精子の濃度・数・運動率を低下させてしまいます。
精子と熱の関係についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
風疹の脅威
風疹で最も恐ろしいのは、妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群になる可能性があるという点です。
妊娠初期の妊婦さんが風疹にかかると、お腹の赤ちゃんも風疹ウイルスに感染することがあります。
妊婦さんに風疹の症状が出なくても赤ちゃんには感染する可能性があります。
感染した赤ちゃんは、難聴、心疾患、白内障、その他心身の発達障害をもって生まれる可能性があります。
これらの障害を先天性風疹症候群といいます。
危険なおたふく風邪の合併症
おたふく風邪の合併症には、無菌性髄膜炎、感音性難聴、脳炎、精巣炎、卵巣炎、膵炎があります。
患者の100人に1~2人が無菌性髄膜炎を発症し、入院が必要となるような状態になります。
ここで男性に注目してほしいのが精巣炎です。
ムンプスウイルスの感染により両側の精巣炎になると、精子が出来づらくなり、精巣炎になってしまった30~87%が男性不妊症になる可能性があります。
かなりの高確率であることがわかるかと思います。非常に注意が必要です。
男性が予防接種すべき理由
男性が予防接種をしなければいけない理由は3つあります。
高熱から精子を守る
精子=精巣は熱に弱いです。風疹やおたふく風邪で高熱が出ないように予防接種を受けるべきです。
大人になってからの風疹やおたふく風邪は子供のそれとは違います。
男性はこれから妊娠を目指すのであれば必ずしておかなければいざという時手遅れになります。
中には無精子症になってしまう場合もあります。
無精子症についてはこちらで詳しく説明しています。
妊娠してからでは遅い
上述したように、妊娠してから風疹のワクチンを接種することはできません。
そして、例えば風疹の場合、妊娠の早い時期ほどリスクがあります。なので妊娠して来院してからの注意喚起では遅いのです。
- 妊娠4~6週で100%
- 妊娠7~12週で80%
- 妊娠13~16週で45~50%
- 妊娠17~20週で6%
風疹罹患が妊娠1~2ヶ月のものは重複障害が多く、妊娠3~4ヶ月では難聴のみが多いです。
妊娠20週以降の感染では基本的に永続的な障害を残しません。
上記発達障害の確率リスクを見るといかに危険なのかがわかると思います。
女性のみならず、家族である旦那様も早期に予防接種をしなければ危険なのです。
出産・子育て世代の男性に風疹患者が多い
出産・子育て世代の男性に風疹患者が多いことが問題とされています。
幼児全員に風疹ワクチンを接種するようになって、風疹そのものは減少しましたが、風疹を我が国から完全に排除するまでは、かえって成人の間で流行してしまいます。
成人の間で流行するということは、成人である妊婦さんとその周辺で風疹が流行するということです。
風疹からもっとも遠ざけたい妊婦さんが危険にさらされてしまいます。以下をご覧ください。
- 1962年4月1日以前生まれ=不要(自然感染で免疫があるため)
- 1962年4月2日~1979年4月1日以前生まれ=男性は要抗体検査
- 1979年4月2日~1987年10月1日生まれ=抗体検査推奨
- 1987年10月2日~1990年4月1日生まれ=抗体検査推奨
- 1990年4月2日以降生まれ=不要
これは風疹のワクチン接種を年代別に分けて、抗体があるかどうかを簡単に分けたものです。
赤色マーカーの部分が風疹の抗体がないか、あるいは薄くなってしまい風疹にかかる可能性があることを意味しています。
大変なことに、男性から妊婦に感染させたケースが報告されています。
職場で風疹が流行すると、免疫のない男性が風疹にかかる→自宅にいる妊婦に風疹をうつしてしまう→当然職場に妊婦さんがいれば危険。
妊婦さんが免疫を持っていても、風疹患者との濃厚な接触では胎児を守りきれないことがあります。
なので風疹そのものをなくす必要があります。
免疫のない人が特に多い世代である働き盛りの20~40代の男性が、周囲に風疹を蔓延させてしまうのです。
まとめ
- 風疹やおたふく風邪が原因で男性不妊になるケースもあり、最悪の場合無精子症になることもある
- 妊娠初期の妊婦が感染することで高い確率で胎児に発達障害がみられる
- 妊娠してから生ワクチンを接種することができな為、妊娠を希望した時点で予防接種をする必要がある
- 出産・子育て世代の男性が免疫力が薄くなっており、妊婦に感染させてしまったケースもある
- 男女共に風疹とおたふく風邪の予防接種は絶対に必要
妊婦さんのもっともそばにいる旦那さんの予防接種は絶対に必要です。
私も実際、子供を作ろうと妻と一緒に産婦人科へ行き、風疹の抗体について説明を受けました。
私たちは不安を持ったまま妊娠を目指すのは極力避けたかったため、風疹の抗体検査を受けました。
抗体検査は通常の内科で血液検査をすることで抗体があるかどうか数日で判明します。
抗体があればそれでよし。抗体がなければワクチン接種すればいいだけです。なんら大変なことはありません。
これからできるかもしれない赤ちゃんと奥様のことを考えて、旦那様はもちろん、ご夫婦共に予防接種は必ずするべきです。
参考文献