【精索静脈瘤徹底解説まとめ】二人目不妊の78%は男性不妊が原因!

不妊治療

 

スパーム
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男性不妊で一番多い原因ってなんだろう?

精索静脈瘤と診断されたのですが、どうすれば治せますか?

精索静脈瘤について色々知りたい

こんな疑問にお答えします。

男性不妊の原因の1つとして度々名前が登場する精索静脈瘤。実は精索静脈瘤は意外と多くの男性不妊者にみられる傾向です。

男性不妊と診断されたらまずはこの精索静脈瘤を疑うべきです。

この記事でわかること
  • 男性不妊に多い精索静脈瘤について理解することができる
  • 精索静脈瘤を自己診断し、原因・改善方法を知ることができる
  • 早期に取り組むことで、改善し、妊娠の確率を上げることができる

精索静脈瘤とは?

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは、精巣周辺の陰嚢部に発達した静脈瘤(静脈の拡張したこぶ)を精索静脈瘤と言います。

男性不妊患者の4割に認められるともいわれ、男性不妊の原因の代表的なものの一つになります。

しかし、精索静脈瘤は最も一般的な不妊原因にもかかわらず、治療の機会が得られにくい疾患なのです。

精索静脈瘤の症状とグレード

症状としては、ほとんどの場合が無自覚です。

程度が重くなると陰嚢部に不快感や痛みを感じることがあります。

見た目で見える症状としては、陰嚢上部にある蔓状静脈叢がうっ血してしまうことにより、陰嚢表面にこぶ状に静脈がみえることがあります。

精巣の静脈は左右で違いがあり、通常左側にみられることが多いとされています。

目で見えるような精索静脈瘤の場合には、精巣や精子に及ぼす悪影響はもはや深刻なレベルとなることがあります。

精索静脈瘤はその程度によりグレードが1~3に分けられます。

精索静脈瘤のグレード
  • グレード1:サイズ小:超音波検査でのみ発覚
  • グレード2:サイズ中:目視ではわからず、立位の触診で発覚可能
  • グレード3:サイズ大:目視で判断可能
進行した静脈瘤はお風呂上がりなど陰嚢の皮膚がたるんでいるときに自分でも分かることがありますので、自分でチェックしてみることをお勧めします。

精索静脈瘤の原因

動脈は心臓から出ていく血管で、静脈は心臓へ戻る血管です。

動脈は心臓から出てきた血液が勢いよく流れていきますが、静脈は心臓に戻る血液の通り道であるため、血液の圧力が低く逆流を起こしやすいという性質があります。

静脈には逆流を防ぐための弁がついているのですが、その弁に不具合が生じてしまったとき、血液の逆流が生じてしまいます。

そうすると、陰嚢上部がうっ血し、こぶ状の腫れという症状が生じます。

精索静脈瘤の自己検診

グレードが2や3の場合は個人でもある程度判断が可能です。

当然専門医であればほぼ確実に判断ができますが、まずは自己検診をしてみましょう。

  • 起床してから陰嚢などに重苦しさや違和感がある。
  • 精巣(睾丸)の大きさや陰嚢のふくらみに左右差がありそう。
  • 陰嚢が常に柔らかく垂れ下がっていて、立ったりお腹に力を入れると陰嚢が何となく膨れてくる。皮膚ごしにミミズ腫れのようなものがある。
  • 精液所見に異常所見が出やすい。

精索静脈瘤と男性不妊の関連

グレード1程度の精索静脈瘤であれば、痛みや違和感を自覚することもないので、日常生活を送る上では何ら問題もありません。

しかし精子に対しては悪影響を与えていることが多くの臨床データより明らかになっています。

精索静脈瘤がある場合、本来血液が流れる方向へ流れておらず逆流している状態ですので、血液が停滞しその結果、精巣の温度が上がってしまいます。

精子は熱に弱いため、精巣は人間の体の内部ではなく、外側に位置しています。

また陰嚢の表皮の伸び縮みにより温度調節ができるようになっているのです。

精索静脈瘤がある場合、血流が滞ることにより精巣の温度が上昇し、精子にとっての適温の範囲を超えてしまいます。

この場合常に精巣を温めているような状態になってしまい、精巣機能を著しく低下させてしまうのです。

男性不妊ではなく、精液所見も正常でも精索静脈瘤である場合もごく普通にあります。

精索静脈瘤を放置するとどうなるのか?

精索静脈瘤を治療しないまま放置しておくとどのようなことが起こってしまうのでしょうか?

精索静脈瘤は残念ながら自然治癒することはありません

そして次第に進行していきます。精巣へのダメージが蓄積していくことで手術では回復しなくなっていきます。

精巣へのダメージにより、精子DNAを損傷しますので、顕微授精をしても受精、着床、妊娠継続に不利になる可能性が高まります。

さらに、精巣機能が悪化して男性ホルモンが低下すると、不妊のみならず将来更年期障害を起こす原因にもなります。

そして一人目が生殖補助医療で妊娠しても、二人目でさらに高度な生殖補助医療が必要となる可能性があり、不妊治療にかかる費用と時間の消費が大きくなります。

二人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因と言われています。

精索静脈瘤の治療方法

精索静脈瘤の治療方法には大きく分けて薬物療法と手術の2つに分けられます。

グレード1~2の精索静脈瘤の場合、漢方薬やサプリメントを服用することにより精液所見が改善することがあります。

薬物療法による治療をするかどうかの判断は、夫婦の年齢と超音波検査での静脈瘤の重症度によって判断されます。当然決めるのはご本人になります。

薬物療法

薬物療法には漢方とサプリメントの2種類があります。

柴桂枝茯苓丸

精索静脈瘤を瘀血と考えて用いられる第一選択の漢方です。

瘀血とは、オケツと読み停滞している状態の血液。また古い血が滞ること。
効能効果:比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび

桃核承気湯

桂枝茯苓丸による治療効果があまり見られない場合に使用されます。

比較的体力があり、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)

コエンザイムQ10

補助的なものとしてコエンザイムQ10などのサプリメントを使用します。

コエンザイムについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

グレード2で漢方薬やサプリメントの服用により精液所見が改善しない場合や、グレード3の精索静脈瘤の場合、手術と薬物療法の併用治療が行われることが多いです。

ただし配偶者の年齢により、術後効果があらわれるまでの時間を待てない場合には、体外受精や顕微授精を実施するのが現実的な選択となります。

精索静脈瘤の手術

手術には主に3種類あり、日帰りで可能な手術や1週間ほど入院を要する手術もあります。

精索静脈瘤高位結紮術

へそ脇の切開で腎臓に近い精巣静脈を縛る方法。腰椎麻酔か全身麻酔になります。手術は比較的容易といわれています。

疼痛が強いことが患者にとって厳しい点です。副作用は陰嚢水腫発生率7~8%、静脈瘤再発率15%前後とやや高め。

精索静脈瘤低位結紮術

足の付け根のあたりの小切開で精巣に近い方の静脈を縛る方法。局所麻酔日帰り手術。手術は、顕微鏡を用いた超微小手術となる為、難易度が比較的高い。執刀医の腕が重要です。

疼痛は少なく、傷口も小さいのが患者にとって優しい点。副作用は陰嚢水腫発生率0~1%、静脈瘤再発率0~1%と他の治療に比べて低い。

腹腔鏡下精索静脈瘤手術

腹腔鏡を使って精巣静脈を縛る方法。全身麻酔・入院1週間。両側精索静脈瘤の手術に対して効率的に治療が行えるので負担も少なく有効だと言われています。

副作用は陰嚢水腫発生率3~12%、静脈瘤再発率4%と低位結紮術に比べて高い。

手術画像は下のリンクにあります。苦手な方はご遠慮ください。

精索静脈瘤と男性不妊

米国生殖医療学会、米国泌尿器科学会のガイドラインでは不妊治療の最初に精索静脈瘤を治しておくことを勧めているほどです。どれだけ男性不妊の原因になっているのかがわかるかと思います。

精索静脈瘤の術後について

精索静脈瘤を手術によって治療をした場合、60~70%の確率で精液所見の改善が見込まれています。

その場合、自然妊娠率は20~50%にもなります。

逆に考えると30%ほどは改善できないことになります。

手術の金額は数十万にもなりますので、いきなり手術に踏み切れる金額ではありません。

初めは医師と相談して、改善薬から初めてみて、その後改善が見られない場合、手術へ踏み切るべきかと思います。

ただし、ご夫婦の年齢によっては早期手術等へ踏み切らないといけない場合もあります。年齢だけは避けては通れない壁ですね。

中には改善できないばかりか悪化する場合もあるそうです。

ただこれは非常に稀だそうですが、痛みや腫れが続く場合は再度検査をすることになります。

こう聞くと怖くて手術を躊躇してしまいますが、経験豊富な医療機関での手術が大切になりますね。

まとめ

まとめ
  • 精索静脈瘤は男性不妊の4割に見られる不妊原因である
  • グレードが3段階あり、グレード2以上で触診や目視で判断可能
  • 精索静脈瘤を自己診断することもできる
  • 精索静脈瘤が自然治癒することはない
  • 2人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因と言われている
  • 治療方法は薬物療法か手術になるが、100%改善するわけではない

手術は金額が金額ですし、100%改善がみられるわけでもありません。

こればかりは医師とご夫婦の相談の上で決めるべき内容ですが、精索静脈瘤が原因の男性不妊は多いです。

自己検診で確認しようにも、普段見慣れている自分の陰嚢とかはそれが普通であると思い込んでいますよね。

私も自己検診してみると「これ、もしかすると左右で大きさ違いませんか?」と思ってしまいそうになります。

結局、経験のある医師に診てもらうことが一番です。

もし、悩んでいる男性がいるのであれば、その悩んでいる時間が非常にもったいありません。

薬物治療で改善できる場合でも、すぐに改善するわけではありません。

数か月、服用をしっかり続けることで改善がみられます。今すぐ行動をするのが妊娠への第一歩だと思います。

 

精索静脈瘤は将来、あなたの子供を授かれるかどうかに直結します。

想像してみてください。

恥ずかしい、後でいいという大したことのない理由で、奥様の妊娠適齢期が過ぎてしまい、子供を授かれなかった時の奥様の気持ちを。

想像してみてください。

原因がわかっているのに、治療をしなかったことで、あなた方ご夫婦にはお子様がおらず、将来もどかしい気持ちでいるあなたの姿を。

想像してみてください。

今、行動を起こしたことで、無事、奥様が妊娠・出産し、可愛い赤ちゃんが生まれて、夫婦でこれ以上の幸せはないと喜んでいる姿を。

今や不妊の原因は男女ともに50%にも及んでいます。不妊=女性という時代は終わっています。

そして、妊娠には年齢というリミットがあります。男性は生涯精子を作ることはできますが、確実に30代後半から精子は衰えていきます。

女性は35歳を過ぎると急激に卵子の数が減少し、妊娠の確率が減少し、流産の確率が上昇してしまいます。

不妊治療には「まだいい」「後でいい」はありえません。

精索静脈瘤という原因がわかっているのであれば、あなたと奥様と将来のお子様の為に、早期に治療をしてください。

 

参考文献

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