年代別体外受精の成功確率と流産確率【高齢だからするものではない】

不妊治療
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  • 体外受精の妊娠確率ってどれくらい?
  • 体外受精の成功率を年代別に知りたい!
  • 1回の体外受精で妊娠できますか?
  • 体外受精の流産ってどれくらいの割合なの?
  • 体外受精はまだ若いとしない方がいいですか?

こんな疑問にお答えします。

高度生殖医療とされる体外受精。

その身体的負担と経済的負担は人工授精を大きく上回り、保険も適用されません。

ではそんな体外受精の成功率は高いのでしょうか?

この記事でわかること
  • 体外受精の年代別成功確率がわかる
  • 体外受精の年代別流産確率がわかる
  • 確率を知ることで早期不妊治療に取り掛かれ、結果、妊娠の確率が高まる

体外受精とは?

人工授精、体外受精、顕微授精はいずれも生殖医療ですが、その内容は全く異なります。

人工授精は体内での受精を試みますが、体外受精と顕微授精は体外での受精を試みるものになります。

体外受精とは、精子と卵子を体内から取り出して、体の外で受精させる治療法です。

受精卵を、ある程度安定するまで培養したあと、女性の体内に戻して妊娠に繋がるようにします。

体外受精を成功させるための要因はいろいろありますが、中でも妊娠に適した状態に成熟した卵子をいかにタイミング良く採取するかということが重要な要素の1つになります。

受精の方法には2つあり、1つは卵子に精子をふりかけてシャーレ内で自然な受精を待つ方法です。これがいわゆる体外受精(IVF)と呼ばれています。

そしてもう1つが顕微鏡を使って直接卵子に精子を注射する方法があり、これを顕微授精(ICSI)と呼びます。

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体外受精=顕微授精のイメージを持つ人が多いかと思いますが、少し方法が違うのです。

どちらにしても費用が高額であり、母体への身心負担がある生殖医療となります。

母親の子宮内に戻った受精卵は、通常の妊娠と同じように成長して出産へと至りますので安心できる技術です。

体外受精へステップアップするケース

体外受精へステップアップするケースは病院やクリニックでの判断にもよるのですが、一定の適応基準があります。

それは何らかの不妊原因があり、体外受精以外の方法では確率は見込めない場合に選択されます。

ではそのケース内容を見ていきます。

卵管性不妊症

1978年イギリスで両方の卵管が閉塞したため従来の不妊治療では妊娠不可能と考えられた女性に、体外受精により世界で初めて女児が誕生しました。

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体外受精は元々は卵管性不妊症の治療として開発されたわけです。

子宮卵管造影法、子宮鏡検査や腹腔鏡検査、卵管鏡などで卵管の狭窄や閉塞が見つかった患者さんには有効とされ、重症の子宮内膜症やクラミジア感染などで卵管周囲に癒着がおこり卵管による卵子の捕獲を期待出来ない場合にも有効です。

男性不妊症

精液の検査にて異常が見つかり、薬物治療や手術治療、人工授精などを行っても妊娠に至らない場合に有効です。

精子が少ない乏精子症、精子の運動率が低い精子無力症、精子の奇形率が高い精子奇形症、無精子症などがあげられます。

精子の数によってステップアップのタイミングなどをまとめていますのでご覧ください。

≫≫男性不妊治療や検査の流れ・費用まとめ【ステップアップのタイミングはいつ?】

抗精子抗体

抗精子抗体は精子を無力化してしまいますので、自然妊娠はおろか、人工授精でも妊娠率は非常に厳しいものとなりますが体外受精の場合は期待ができます。

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抗精子抗体は割合はかなり低いですが、かなり厄介です。

それでも無精子症よりも確率%は高いので、自分は関係ないと思わないことです。

≫≫抗精子抗体でも妊娠は可能か?【原因・割合・治療・いつできるのか】

機能性不妊

原因不明の不妊症の方です。

タイミング法、排卵誘発法、人工授精法の後に位置するステップアップの最終段階ともいえる体外受精、顕微授精が濃厚。

すでに治療を受けている方、年齢が高い方は、患者の状況に応じこれらのステップアップを早めることが必要となります。

体外受精治療を行って、初めて受精障害などの不妊原因が判明することもあります。

例えば、卵子の質や透明帯の厚さなどは卵子を体外に取り出すことで初めてわかることになるからです。

体外受精の成功確率と流産確率

平成29年に日本産婦人学会が発表した報告によると、平成27年に体外受精を行った件数は424.151件で、その内無事出生に至った件数は51.001人であることがわかりました。

なんと日本国内で生まれた赤ちゃんの20人に1人は体外受精であるという計算になります。

またこの数字だけで見ると体外受精の成功出生率としては11.7%となっており、5年前の同統計から0.5%成功率は上昇しています。

では年代別で体外受精の成功確率を見てみましょう。

生産率では30歳が一番高くて21.5%となっています。

5回に1回の割合で出産に至っています。

30歳以降は徐々に下がっていき、40歳では生産率は10%を割り込む数値となります。

この数値からみると、年齢が若いほど体外受精の成功率が高いという傾向がはっきり出ています。

  • 30歳 21.5%
  • 35歳 18.4%
  • 40歳 9.1%
  • 42歳 4.5%

なお、日本における平均的な体外受精成功率は23.9%と言われています。

自然妊娠に近い、あるいはそれを上回る成功率となっています。

ちなみに、シャーレ内で卵子に精子をふりかけた時点での受精確率は非常に高く70%ほどは受精するというデータがあります。

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これは10個卵子があったとしたら7個前後は受精がおこります。

ただし、精液所見で異常がない場合の数値になります。

もし精液所見が悪いと判断された場合、顕微授精に切り替える病院は多いかもしれません。

問題は、その受精に成功した卵子を母体に戻し、しっかり細胞分裂が進むかどうかが大切で、そこで初めて体外受精成功となるわけです。

では次に体外受精での年齢別流産確率です。

流産確率は成功率とは正反対になっています。

年齢が高い方が流産の確率が高く40歳で34.6%、42歳で45.9%と半数に近い割合で流産となります。

流産は妊娠全体のうち、7分の1が流産になることがわかっています。

染色体異常によるものが多いのですが、高齢での流産もこれに含まれます。

  • 30歳 16.5%
  • 35歳 20.1%
  • 40歳 34.6%
  • 42歳 45.9%

高齢出産は妊娠しずらいというのが問題なのではありません。

問題なのは胎児の奇形リスク、障害リスクが高く、母体へのリスクも高まってしまうことが問題になります。

もし、40歳を超えての不妊治療を行っている場合、子供を諦められない気持ちは痛いほど分かりますが、どういう結果になったとしても責任を持って育児を行えるのかをご夫婦でしっかり話し合って欲しいと思います。

専門医が言わない体外受精の現実

体外受精の歴史はまだ非常に浅いのですが、「妊娠する時期を過ぎても妊娠できる」と過剰な期待を抱かせてしまいます。

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体外受精の妊娠成功率は23.9%が平均だとしても、妊娠率=出生率ではないということを覚えていてください。

上述しましたが、高齢出産は妊娠しずらいというのが問題なのではありません。

問題なのは胎児の奇形リスク、障害リスクが高く、母体へのリスクも高まってしまうことが問題になります。

さらに、死産や母体の安全にも関わります。

歳を重ねて体外受精を行って妊娠したからといってそのうち100%が無事に出生するわけではないのです。

また20%が成功している裏には80%が失敗し、妊娠に至らないということを忘れがちです。

「体外受精の20%は成功する」という部分だけが切り取られて伝えられているのです。

42歳ではその成功率はわずか4.5%しかありません。

高齢であれば体外受精の確率も低いということを発信していないわけです。

40歳に近くなってから体外受精は検討するべきであるという考えは間違いであり、体外受精であっても早い年齢で行う方が成功率が格段に高く、子供を授かれる可能性があることを知っていてください。

まとめ

まとめ
  • 体外受精は不妊原因があり、体外受精以外の方法では妊娠に至らなかった場合に選択される高度生殖医療である
  • 日本国内の20人に1人は体外受精での出産という計算になる
  • 年齢が若い方が体外受精での妊娠率が高く、流産確率は低い
  • 体外受精だからといって年齢不問ではない
  • 成功率20%の陰には80%が妊娠していないことを知るべき

体外受精をすればかなりの高確率で妊娠し、それほど年齢は関係ないと思っている人は意外といます。

実際は、確率は自然妊娠程度であり、年齢は大いに関係しています。

結局は、卵子と精子の質であり、その質は年齢に比例しているのです。

≫≫精子の質を上げる6つの方法【精子DNAダメージは確実に存在する】

5回体外受精しても授からないご夫婦も当然いらっしゃいますし、1回の体外受精で妊娠したご夫婦もいます。

全てを質で片づけることはできなく、原因不明である場合も未だに多いケースです。

体外受精を行うご夫婦は、心から子供が欲しくてたまらない人です。

そうでなければ人工授精までで止めていることでしょう。

体外受精は人工授精と違い、何回までという考え方はありませんが、身体的・経済的負担が非常に重い為、数多くできるものでもありません。

保険適用にするだけでも多くのご夫婦の願いが叶うかもしれないのに、少子化が問題になっている日本は、これからどうなってしまうのか不安でしかたありません。

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