抗精子抗体でも妊娠は可能か?【原因・割合・治療・いつできるのか】

不妊検査
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  • 抗精子抗体ってなんだ?
  • フーナーテスト不良だったんだけど抗精子抗体かも?
  • 抗精子抗体があるって診断されて困っている
  • 抗精子抗体でも自然妊娠できるのかな?
  • え?いつ抗精子抗体になっちゃたの?

こんな疑問にお答えします。

これだけ医学が発達している中でも、不妊には原因不明の場合もあります。

その原因不明にあたる内容としては、加齢・ミトコンドリアの活性化不足が原因であることが少しずつ判明されつつありますが、割合が少ないが数%に起こりうるものの1つに抗精子抗体というものが存在します。

今回は抗精子抗体についてまとめました。

この記事でわかること
  • 抗精子抗体が何なのか理解できる
  • 抗精子抗体であっても妊娠は可能かどうかがわかる
  • 不安を払拭して、早めに妊娠に近づける手を打てる

もしフーナーテストを受けて、精子ゼロというショッキングな結果になったご夫婦は、もしかすると抗精子抗体かも?と疑ってみましょう。

割合が少ないですが、だからこそ見逃されるケースもあります。

抗精子抗体とは何なのか?

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そもそも抗体という言葉は知っているようで詳しく知らない方もいるかもしれませんので解説します。

人の体には、細菌やウイルスなどが入ってくるとこれに抵抗してからだを守ろうとする働きがあります。

このときに働く物質のことを抗体と言います。

細菌やウイルスが悪い働きをしないようにするタンパク質の一種です。

通常は守る働きをする抗体が、体に不利益な働きを起こす場合がアレルギーと呼ばれます。

抗精子抗体とは?

では抗精子抗体とはどういうものなのでしょうか?

抗精子抗体はanti-sperm antibody=ASAとも呼ばれます。

抗精子抗体は精子を攻撃する抗体の総称で、精子を不活性化してしまい、卵子との受精を妨げてしまう免疫性不妊の原因とされています。

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そりゃ妊娠しないわけです。

抗精子抗体には、精子を不動化し死滅させる不動化抗体と、精子を凝集させ運動率を低下させる凝集抗体があって、精子の受精に関する機能を障害します。

そしてこの抗精子抗体は男性も女性も持っている可能性のある抗体なのです。

抗精子抗体の割合

妊娠への妨げになってしまう抗精子抗体ですが、男女ともに持っている可能性があります。

不妊女性と不妊男性を調べることで陽性反応が出る確率は約3%であると日本生殖医学会より報告があります。

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非常に稀な症状でありますが、これで悩んでいる人がいることは事実です。

抗精子抗体はその95%ほどが後天性のもので、フーナーテストで精子の子宮侵入が確認されても、精子の運動率が弱まってしまったり、死滅してしまう場合は、抗体が作られやすく、フーナーテストが良好であったとしても抗精子抗体ができる場合もあります。

フーナーテストについては、フーナーテスト検査前と検査結果の疑問徹底まとめ【妊娠を諦めるな】でまとめいていますのでご覧ください。

抗精子抗体の検査と費用

抗精子抗体の検査方法は血液検査になります。採血です。

採血のタイミングは月経周期などに左右されないため、いつでも可能です。一般的には採血した血液を用いて、精子不動化試験や精子凝集試験を行います。

そこで陽性反応=抗体があるとなった場合、抗体価という数値を計測します。

この抗体価は同じ人であっても自然に変動してしまうことが既に判明されていますので、1度だけではなく、複数回検査を行う場合があります。

費用は当然病院やクリニック、内容で違いがありますが、6000円~10000円が相場です。

大きなクリニックや有名な専門医のクリニックでは20000を超える場合もあります。

多少高く感じるかもしれませんが原因がわかる不妊の場合はまだ良くて、検査では問題が見られないのに妊娠できない原因不明の場合のほうが、辛く苦しい事の方が多いのです。

ですから検査で原因がわかるなら多少お金を払ってでも検査をするべきでしょう。

抗精子抗体の原因

抗精子抗体の95%は後天性です。つまり5%は先天性です。

抗精子抗体の原因は男性と女性に分けて考えられます。

女性の場合の原因

女性の場合、同種抗体と呼び、本来自分にはない精子が他人から入ることで作り出してしまった抗体になります。

そもそも精子は女性の体にとっては異物なので、体内に侵入することで必ずといっていいほど抗体ができます。

抗体は精子を有害ではないと判断すると消滅しますが、抗体が持続しやすい体質の女性は精子を排除しようとしてしまいます。

  • 精子が膣内へ入る
  • →女性が持つ抗精子抗体が精子にくっつく
  • →精子の運動機能を妨害、受精を妨げる

という流れになります。

「精子を攻撃しやすい体質ですね?」なんて医師から言われることもありますが、女性側の意思でどうこうなるものではありませんので、気にしてはいけません。

男性の場合の原因

男性の場合は自己抗体と呼び、自分の精子に対して作られてしまった抗体になります。

  • 自分の精子に自分の抗体がくっつく
  • →女性の体内での運動率が悪くなる
  • →受精機能が低下し悪くなる

という流れになります。

こちらの方がケースとしては稀ですが、こういう場合もあるのです。

いつ抗精子抗体が作られるのか?

では、いつ抗精子抗体が作られてしまうのでしょうか?

抗精子抗体は精子に触れることで初めて作り出されます。

女性の場合は、性交SEXによって初めて精子に触れることになりますので、その性交以降に作り出されてしまっていることになります。

ただ、女性が抗精子抗体を作る頻度は低く、女性の人が不安になるような必要はありません。

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なにせ3%ですからね。それでも100人に3人の割合ですのでそれを多いと感じるかどうかです。

遺伝的要素が関係しているとされる報告もあります。

男性の場合は、血液と精巣間で免疫関連をブロックしてくれているので抗精子抗体が作り出されるという頻度は低いです。

しかし、精巣や精管の手術などによって免疫機能が崩れてしまい、抗精子抗体を作り出してしまうことはあります。

例えば、他の臓器の自己抗体を作る際に、精子の自己抗体も一緒に作ってしまうという場合があります。

精子が何度も多量に体内へ侵入すると抗体の力が増していきます。ですので、膣内射精が一般よりも多い方や、人工授精の回数が多い人は抗体が強くなっていきます。
上述したように割合は3%です。たった3%かもしれませんが、もしその3%に入った場合、非常に厄介なことになるわけです。

抗精子抗体で自然妊娠は可能か?

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結論から言うと、妊娠可能です。

抗精子抗体が存在している場合、一般的には自然妊娠や人工授精による妊娠は非常に困難であるというデータがあり、結果的に体外受精・顕微授精を提案されることが多いです。

抗精子抗体には強さがあります。強度、中度、弱度の3種類です。

中度以降で顕著な障害が起こりますし、精子全体にあまりにも強度の抗精子抗体が結合すると体外受精でも妊娠は厳しいものになってしまいます。

ただ、弱度の場合は自然消滅することもあります。

上述したように、抗体価は個人でもよく変動しますので、まだ弱度の抗精子抗体の場合は、抗体価が低い状態でタイミングを計ることで自然妊娠することは可能となります。

たった3%とはいえ、不妊治療の方針を大きく左右するものですので、血液検査と性病検査、精液検査はどれも早めに行った方が、ご夫婦の今後の為になるかと思います。

時間やお金、労力を費やして、喧嘩をしながら不妊治療をたんたんとなんとなく進めていたのに、実は抗精子抗体や男性不妊だったとなった場合、それまでの検査などが無駄になってしまうからです。

ですから検査は大切で、女性だけでなく、男性も必ず行った方が良いのです。

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私みたいに蓋を開けたら精子が少なくて動いてないなんてことになりかねません。

性病検査と精液検査は今では自宅でも簡単にできる時代です。

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まず精子を調査!【精液検査の方法と費用】今や自宅で出来るキットもを読むことで、院内採精検査だけでなく、自宅での精液検査キットについても理解が深まります。

抗精子抗体の治療方針

抗精子抗体の場合、どういう流れで治療が行われ、妊娠を目指すのかは医師により判断はされるものの、当然、ご夫婦の意見が尊重されます。

ただ、抗精子抗体の治療には方針があります。

まず、抗精子抗体を測定するタイミングは基本的にはいつでも採血可能なのですが、勧められるのが以下の場合です。

  • 半年~1年経過しても自然妊娠しない場合
  • フーナーテストで運動精子を認められない場合
  • 人工授精を行う前

そして抗体価の高低レベルによって人工授精か体外受精かが選択されます。

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体外受精を第1選択とする方針もありますが、それは抗体強度やご夫婦の年齢で判断されることでしょう。

いずれにしても人工授精以上の治療を開始することになってしまいます。

弱度の抗精子抗体の場合、長期(半年以上)の連用によってサプリメントや漢方で抗体が消滅することもあります。

また先天性の場合はすぐに再発することもよくあることです。

漢方ですと「柴苓湯(サイレイトウ)」、サプリメントですと「GABA」で治療効果がでているという報告もあります。

まとめ

まとめ
  • 抗精子抗体は精子を不活性化してしまい、受精を妨害してしまう
  • 不妊患者の男女3%の確率でみられる
  • 検査は採血で判明され、費用は6000円~1万ほど
  • 女性の場合、性交渉によって初めて抗精子抗体が発生しうる
  • 男性の場合、手術や免疫機能の低下により抗精子抗体が発生しうる
  • 弱度の抗精子抗体であれば自然消滅することもあり自然妊娠も可能
  • 中度抗精子抗体以上の場合、自然妊娠は困難で、体外受精が提案される
  • 抗体価は変動するので下がっているタイミングで上手く自然妊娠も可能
  • 柴苓湯やGABAで改善されたとの報告がある

抗精子抗体がまだ弱度の場合は性交の際にコンドームを付けることもいいと思います。

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精子は膣内射精する度に抗体ができやすくなることを考えれば有効です。

不妊治療は時間がかかります。それと合わせて精神的、金銭的、女性の場合は身体的に負担がかかってしまいます。

そして、妊娠には年齢という避けては通れないリミットがあります。

ですので、何事も早期に早目に行動し、判断することが肝心になってきます。

血液検査、性病検査、精液検査はすぐにでもできることなので、不妊治療のスタートとしてこの3つは行うべきです。

不妊治療はどちらか一方に原因があったとしても夫婦二人で妊娠するまでの間、継続していく作業です。

しっかり話し合い、お互いの気持ちを一緒にして治療を早期に進めていってください。

今はまだいい、あとで考えるは不妊治療にはありえないのです。

 

参考文献

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