
- 排卵のタイミングに合わせて精子を溜めた方が妊娠確率ってあがるの?
- 精子は溜めた方がたくさんでるし、元気なのかな?
- ベストな禁欲期間って何日なのかな?
- 人工授精予定なんだけどどれくらい禁欲すればいいのかな?
- 精液検査でどれくらい禁欲すれば良い結果がでますか?
こんな疑問にお答えします。
自然妊娠を望んだ場合はもちろん、精液検査や人工授精・体外受精を行う場合、男性が気になるのはどれくらい禁欲したら精子が一番いい状態で射精されるのか?だと思います。
私も初めて精液検査を受ける時や、自然妊娠を試みていた時、できるだけ精子を射精しないで溜めた方が精子がたくさん出て、妊娠しやすいのではないか?と漠然と思っていました。
普通の男性なら当然同じように思う事でしょう。

しかし、調べてみるとそれは逆効果だったことが判明しました。
- 精子にベストな禁欲期間がわかる
- 目指すべき日から逆算して精子の準備ができる
- ベストな精子を提供できるから妊娠の確率が上がる
この記事は男性にはかなり重要であると感じています。何故なら私はこの禁欲期間をしっかりものにしたからこそ人工授精で妊娠まで漕ぎ着けることができたからです。
最終的に希望しているであろう「妊娠しやすい精子を出すにはどれくらい禁欲期間を設ければいいのか?」についてまとめています。
読み終えた頃、自分の今までの禁欲が間違っていた!なんてことに気が付いてくれたら嬉しい限りです。
日本人はSEXの回数が少なすぎる
そもそも日本は不妊大国と言われています。
先進国の中で日本人はSEXの回数が一番少ないことで有名です。
統計によると、日本人は1年間で約45回の性交渉SEXを行っていますが、これは単純計算すると1週間に1回もSEXをしていないことになります。
一方、世界で一番SEXをする国はギリシャだという統計データがあります。ギリシャ人は1年間で138回もSEXを行っているそうです。
これは単純計算しても2・3日に1回はSEXをしている計算になります。
SEXの回数というのは妊娠率にそのまま比例していきます。
性行為の回数による妊娠率については、妊娠の確率・流産の確率どれくらい?まとめ【妊娠率を上げる方法】でまとめていますのでご覧ください。
当然毎日SEXした方が妊娠率は高くなります。このSEX回数が日本を不妊大国としてしまった原因の1つであることは間違いありません。
「精子は溜めた方が良い」は間違い
精子は溜めた方が良いという考えは間違いです。
溜めて頑張ることでたくさん精子がでるから妊娠しやすいとか、溜めることで濃度が濃くなって良い結果が出そうなイメージがありますよね?

実は私も同じ様に思っていたので、不妊初期や検査の時は長いと10日くらい禁欲期間を設けて、検査等に臨んでいたりしました。
それなのに結果がよくなかったり(もともと悪いのですが)、状態が悪化していたりして落ち込んだことを覚えています。
病院からも「〇日くらい禁欲してください。」と指示があったりしますので、出しすぎることで精子が薄くなり、少なくなってしまうと思われがちです。
しかし、最近の見解では、禁欲期間が長いことで精子の質を落としてしまうというのです。
禁欲期間が長いと精子はどうなるのか?
男性の禁欲期間を長くし、精子を溜めることで精子の質を低下させます。
精子は一般的に、射精を行ってから3日ほどで精子数は回復するとされています。
精子は毎日一定数作られますので、禁欲期間が長いと精子数だけは一見増加します。しかし、禁欲期間が長いことで精子の運動率は低下してしまうのです。
精子は毎日一定数作られますが、古い精子は次第に状態が悪化していって死んでしまいます。
精子を長期間溜めると、古い精子から産生される活性酸素によって精子や精子を作る細胞がダメージを受け、結果として精子を作る力が低下していきます。
精液は精嚢と前立腺で毎日作られていますので、溜めれば溜めるほど精液量は増えていきますが、これは精子の状態とは無関係になります。
死滅精子が新しい精子の邪魔をする
精子は88日かけて作られ、体外へ射精されます。
この日数を超えていくと、精子は死滅精子となって次第に無くなっていきます。
当然新しい精子も補充をされてはいきますが、死滅精子は非運動精子であるため、せっかく補充された精子の進行を邪魔する可能性があります。
禁欲期間が短いと精子はどうなるのか?
逆に禁欲期間が短いと精子の数に影響してしまいます。
精子は毎日一定数作られてはいますが、精巣から射精まで至るために、精管を通って射精を目指しますが、それには時間が必要です。
あまりにも短い禁欲期間だと精子の数が少なくなります。
しかし、逆に精子の運動率は高くなります。
妊娠するには精子の数と精子の運動率は非常に重要になりますので、どちらもバランスよく準備できる禁欲期間が必要となります。
男性の理想の禁欲期間とは?

それでは理想とされる禁欲期間はどれくらいなのでしょうか?
上述したように、禁欲期間は長すぎても短すぎてもダメとなりますが、無理して溜める必要はなく、自然妊娠を狙ってタイミングをしていく場合は、毎日でもいいと言われています。

そうは言っても目安となる日数は知りたいですよね?
妊娠を目指すなら、1日2日程度の禁欲期間で十分であり、また1日2日の禁欲期間が理想であるとされています。
精子数だけを見ると、2日以上の禁欲期間の方が多くなりますが、毎日一定数の精子が作られることから、2日以内の禁欲期間だと新鮮で活発な精子が出てくることになるのです。
禁欲期間に関する論文
論文を1つご覧ください。
Fertil Steril 2005; 83: 1680
9489件の精液検査データのうち、精子の数が少ない(乏精子症、精子数<2000万/mL)3506検体と正常精子数の5983検体に分けて各項目を比較。精子の数が少ない検体では、禁欲期間を1日とした場合に最も精子運動率が良く、禁欲期間を0~2日とした場合に正常形態精子が最も多くなりました。一方、正常精子数の検体では、禁欲期間が11日以上で、精子運動率と正常形態精子がともに低下しました。
この論文では、精子の数がもともと少ない場合、禁欲期間を1日にすることで運動率がよく、精子の状態が正常な男性の場合、禁欲期間を最大で10日以内とすべきであると結論づけています。
これは射精をしないことで新しい精子をつくるスペースが作られないという理由と、古くなった精子からは活性酸素が産生されることで、精子やDNAにダメージを与えてしまうという理由が考えられます。
精液検査や人工授精・体外受精における禁欲期間の数え方

ではその禁欲期間の数え方はどう計算するのでしょうか?
精液検査であれ、人工授精であれ、体外受精であれ同じです。
この場合ざっくりとした1日2日ではなく、時間で計算しましょう。
例えば、1日は24時間ですので、2日と言われたら48時間以上経過してから、3日と言われたら72時間以上経過してからと考えるのが問題がない数え方になります。
理想の禁欲期間は1日か2日ですので、精子の量が気持ち少ない男性の場合は、量をできるだけ増やせる2日、つまり48時間以上経過してからの射精が望ましいです。
精子の量に問題がない男性の場合は、精子の運動率が一番高いとされる1日、つまり24時間以上経過してからの射精が望ましいと言えます。
ケース毎の禁欲期間と個人差を見極める重要性
と、ここで実は落とし穴があります。
ベストな禁欲期間は1日~2日であると上述しましたが、男性不妊の場合それでは十分な結果を期待できる精子の状態にならない人も当然います。
精子の回復力には個人差があるので、まずはあなたにとってベストな禁欲期間を探し当てることが必要となります。
一見、かなり面倒でやろうとする人は少ないかもしれません。
射精して検査しないと精子の状態はわかりませんからね。
でも本当にこれは重要でして、私はこれができたから人工授精で奇跡的に妊娠できたと思っているくらいです。
想像してみてください。
あなたの精子は2日で満タンになり、2日が運動率が最高値を叩き出す禁欲期間なのに、病院の指示で5日の禁欲をした場合、3日分劣化してしまって質が落ちてしまっています。
その質の低下で受精まで至らないかもしれません。
想像してみてください。
あなたの精子は8日まで溜めないと満タンにならないのに3日で射精しては数が少ないと言われ、病院の言われるがまま顕微授精で高額な医療費を払って治療してしまっている。
人工授精でも妊娠できたかもしれないのに諦めが早すぎたケースです。
自分の精子の状態を毎回病院で精液検査するのは大変です。ですので自宅で簡単に調べられる精液検査キットを使用します。

私もこれで確認することで自分にベストは禁欲期間を見つけ出せました。
さらに生活習慣改善やサプリ等で精子力回復を目指していたので、同時にその経過も確認できるでかなり重宝しました。
【体験済】自宅で精子が見れるおすすめ精液検査キットをご覧ください。
ではケース毎に一般的な禁欲期間を確認してみましょう。
精子が少ない乏精子症の人の禁欲期間(精子数を多くしたい場合)
通常であれば3日で精子は満タンのMAXになるのですが、元々精子が少ない乏精子症の場合、3日ではおそらく精子数は不足してしまいます。
この場合、4日以上溜める必要がありますが、上記論文の通り、10日を超えると精子の質は低下しますので10日以内でベストな日数を探し出しましょう。
精子の運動率が低い精子無力症の禁欲期間(精子を元気よく、活発にしたい場合)
通常であれば精子は毎日一定数数作られますし、禁欲期間が短い方が精子運動率が高いということを考えるとやはり1日~2日がベストです。

ただし、私のように精子数が少ない乏精子症も併発しているケースは多いです。
この場合、精子数と運動率がバランス良く揃う禁欲期間が何日くらいなのかを探し出さなければいけません。
精液検査や人工授精の場合の禁欲期間
精液検査というのは、男性側の不妊検査としてスタート段階のものですので、まだ自然妊娠や人工授精が必要かどうかを判断しているような段階でしょう。
自然妊娠も人工授精も方法が多少違うものの精子に必要とされる装備は同じで、精子数と精子運動率が特に重要です。
この場合、やはりバランスよく準備できていることが望ましいため、通常であれば2~3日の禁欲が良いでしょう。
体外受精の場合の禁欲期間
体外受精や顕微授精の場合は、人工授精とは違い体外で受精させますので人工的と言えます。
そして体外受精の場合は、必要とされる精子の装備としては、数や運動率よりも質が重要となります。
10日以上溜めこむことで質はほぼ必ず低下することがわかっていますし、新鮮な精子であるほど質は良いと考えられています。
ですのでこの場合、1日~2日程度の禁欲期間が通常であればベストとなります。
まとめ
- 精子は溜めた方が量も質も良くなるのは間違い
- 精子量は3日ほどで回復し、それ以上は次第に精子の運動率が低下していってしまう
- 短い禁欲期間の場合、運動率は高くなるが、精子数が低下してしまう
- 精子が少ない人は48時間以上経過してからの射精が量・運動率共にベストである
- 精子の量に問題がない人は24時間以上経過してからの射精が量・運動率共にベストである
- ただし、個人差があるため、まずは自分にベストな禁欲期間を知ることが必要である。
精子は長く溜めてしまうとその分、質が低下してしまい、精液検査や人工授精で悪い結果に繋がってしまいます。
射精することで少なくなってしまうという心配をする必要はありません。
20日や30日溜めて射精するよりも0日の方が精子の質が良いわけです。
ですので、精液検査を控えていたり、人工授精や体外受精をこれから控えている男性は、身構えることなく、普通に臨んだ方が良い精子を提供できます。
私もこのことを知ってから、精液検査や人工授精の日の数日前に射精をするようにしました。

これで次のチャレンジの時、計算して臨めますね。
それでも精子の状態が悪い場合、あなたの精子を妊娠しやすい精子に変えていかなければいけません。
時間はかかりますが自然妊娠の確率よりも高い確率で改善が見込めると言われていますので試してみる価値はあると思います。
妊娠しやすい精子に変える方法はこちらの記事をご覧ください。
参考文献