体外受精児16人に1人の割合に
2019年10月28日、ふとYhaooニュースのトピックを眺めていたらこんな記事が目に飛び込んできた。
不妊治療の体外受精によって2017年に誕生した子どもの数は、5万6617人だったとの調査結果を日本産科婦人科学会が28日までにまとめた。この年に生まれた子どものおよそ16人に1人の割合。最多だった16年の5万4110人を2500人余り上回った。
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191028-00000085-kyodonews-soci
2年前の統計結果が2年後の今出てきたわけですが、当然2019年はもっと多くの数字になっていることが容易に想像できます。
1983年に東北大で国内初の体外受精児が生まれてから合計で59万人を超えた。夫の精子を妻の卵子に注入する顕微授精などで作った受精卵を凍結しておき、着床しやすい時期に子宮に戻す方法が主流となっており、体外受精の出産の8割を占めた。成功しなかった分も含めた治療件数も44万8千件余りで最多。
少し前までは20人に1人の割合で体外受精児が生まれているというデータだったのですが、数年で16人に1人の割合にまで増加しています。
単純計算をするとクラスに1人か2人は、昔で言う「試験管ベビー」がいるということになります。
ただ、昔は諦めなければいけなかった妊娠出産も、お金と時間を注ぐことで可能となってきたということは、不妊で悩むご夫婦にとっては非常に嬉しいことであり救いの手となっていることは事実。

しかし、現実にはその成功率は決して高くはないということを知っておいて欲しいです。
日本の生殖医療は値段が高い割には成功率が世界的に見ても低いのです。
体外受精の成功率は世界最下位
ご存知でしたでしょうか?
日本は体外受精の実施件数は世界NO1なんです。
しかし、出生率は世界最下位になります。
こんなデータから日本は「妊娠できない不妊大国」「妊娠できない不妊治療を世界で最も多く行う国」なんて揶揄されたりもします。

その原因は一体どこにあると思われますか?
日本の不妊治療成績はこれほどにも悪い ~出生率~
こちらのグラフは、国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)の報告によるものですが、世界各国のART(生殖医療)の実施状況をまとめたものです。
日本は、1回の採卵あたりの出生率は60か国地域中でダントツの最下位でした。

累計出生率を見るとドミニカ・イタリアに次いで下から3番目であるものの、世界的に見てかなり悪いというのが伺えると思います。
そして累計出生率は体外受精の実施回数が他国より多い為、なんとか最下位を免れているとう状況なのです。
妊娠できない不妊治療 ~体外受精実施件数~
こちらのグラフは体外受精の実施件数となります。
出生率が低い日本ですが、体外受精の実施件数は60か国地域中でもダントツの1位であることがわかるかと思います。

2つのデータから、日本は妊娠できない不妊治療をたくさん行っていると見られても仕方がないわけなのです。
体外受精での出生率およそ12%
今回たまたま私の目に飛び込んできた記事の数字を見てみますと、体外受精児5万6千人に対して、出生できなかった分も含めた総実施件数は44万8千件であることから計算すると体外受精での出生率はこの年12.6%しかなかったことになります。
妊娠の確率・流産の確率どれくらい?まとめ【妊娠率を上げる方法】でまとめているデータは数年前の物ですが、この時体外受精は日本の場合23%程度が平均成功率でした。
しかし、2017年だけのデータでは12.6%とかなり低くなってきています。

この要因はなんだと思われますか?
日本の技術力が低下しているのでしょうか?
日本人の男女に何か変が起こっているのでしょうか?
原因はまったく違う部分にありそうです。
日本の体外受精出生率が悪い原因は日本人にあった
日本はなぜ不妊治療の成績が世界的にも悪く、不妊大国と呼ばれてしまうのか?

その原因は私たち日本人そのものの考え方にありました。
日本の文化として、「可能な限り自然が良い」という考え方が根底に存在します。
とても気持ちはわかるのではないですか?
- 顕微授精より体外受精の方が良い
- 体外受精より人工授精の方が良い
- 人工授精より自然妊娠の方が良い

こう思うのが日本人なら普通だと思います。
でも世界ではそうではない。
性教育が幼いころから日本よりもしっかり行われていることもあり、若くして妊娠への知識がある分、その挑戦も若くして行う傾向にあります。
逆に日本の場合、「自然に任せるのが良い」「いつかそのうち自然にできるでしょう」という根拠のない思い込みから、年齢がある程度高くならないと不妊治療を考えず、医療機関に足を運ばないのです。
つまり、不妊治療をスタートする開始年齢が世界的にも遅いわけなのです。
でもその原因を作っているのはあなたであり、あなたの周囲の意見である日本人の根底にある考え方なのです。
日本人の妊活は効率を考えない
仕事や家事など、やらなければいけないことがたくさんある中、人は自然と効率を考えて行動しますよね。
仕事の場合、人員が少ないから仕事を振り分けたり、無駄を極力省いて仕事をすることで効率よく生産性を上げることを行うはずです。

しかし、こと不妊治療に関しては日本人は効率を優先しません。
理由は上述したことと同じで、できれば自然に授かりたいから、無理をせず授かれれば嬉しいから、なのです。
想像してください。
例えば、不妊治療の本や雑誌、これから妊活をしようとしている人向けに紹介されている内容はどんなものでしょうか?
- 食事の見直し改善
- 自然療法や運動
- 冷え対策
- 薬は控える
こんな感じの内容が多くありませんか?
実際、妊活の本で一番売れているのはこの類の内容の本になります。

でもこれって、妊娠を目指すことを考えた場合、効率は良いか悪いかで言うと悪いわけです。
不妊の一番の敵は年齢です。
そして女性の場合、妊娠できる年齢にはリミットがあります。
上記のような根本的な自然療法に時間をかけすぎ、いざ実際に不妊治療をスタートしようとすると、妊娠に必要な卵子が少ない女性が現代には非常に多いそうです。
そして、満を持して始めた不妊治療がすぐに結果が出ないため、心身ともに疲れていき、3カ月程度で弱音を吐いて、不妊治療から遠ざかってしまうという負のスパイラルに入てしうわけです。
ちなみに高齢女性の排卵数減少抑制には非発酵のルイボスがおすすめです。
≫【騙されるな!】ザクロとルイボスティーって本当に不妊に良いのか?
日本の不妊治療技術は決して低くない
日本の不妊治療成績が悪いのでは?と考える人もいるかもしれません。
しかし、日本の技術力は決して世界に引けを取っていません。
それどころか日本トップの施設で行われている内容は、欧米のトップクラスを上回るのではないかとさえ言われているほどです。
上述もしましたが、日本人は不妊治療や妊娠への正確な知識を持っていない、与えられていないため、妊娠のチャンスを自ら逃していることが往々にしてあります。
食事や運動、冷え対策による妊活は確かに健康面から考えると非常に大切であり、胎児を迎え入れる為の準備としては必要かもしれません。

しかし、それだけでは妊娠に至れない人は世の中にたくさんいるのです。
不妊クイズ!あなたはいくつ答えられますか?
不妊や不妊治療に関する問題をいくつか出しますので○×で回答してみてください。
- 【1】質の良い精子を得るため禁欲期間0よりも10日ほど溜めた方が良い。
- 【2】最も妊娠しやすいタイミングは排卵日当日である。
- 【3】男性不妊で最も多い症状は勃起不全EDである。
- 【4】自然妊娠よりも人工授精の方が妊娠率は高くなる。
- 【5】妊娠したので今から葉酸を摂取しはじめる。
- 【6】フーナーテストで精子ゼロだった場合、もう自然妊娠の可能性はない。
- 【7】無精子症は男性1万人に一人の割合である。
- 【8】女性の妊娠適齢期は10代後半である。
- 【9】男性ホルモンを投与すれば精力が高まり、精子も元気になる。
- 【10】確実な男女の産み分けは日本でも可能である。
以上10問です。いかがですか?全て回答できましたでしょうか?
それでは答え合わせです。
男性に関するものと女性に関するものを用意しましたが、不妊原因は今や男女共に50%となっていることを覚えてください。
昔は不妊=女性原因と勝手に思われていた節がありますが、今や男性不妊もかなり認知されてきています。
そんな私も男性不妊だったのですが、努力と根気で男性不妊を克服し、精子数40倍、精子運動率2倍に増やすことに成功し、無事娘を授かれました。
≫【私はこれで妊娠しました!】男性不妊でも妊娠できた5つの方法
肝心な回答ですが、答は全て「×」です。
解説は全てこのサイトに載っております。