
- 出生前診断は受けるべき?
- 出生前診断受けなくてもいいですよね?
- 夫婦で意見が分かれていてどうしたらいいかわかりません。
- 出生前診断を受けたことのある夫婦の感想が知りたい。
こんな疑問にお答えします。
過去10年で出生前診断を受けるご夫婦の数は2.4倍に増加しています。
出生前診断をするべきかどうかの議論や倫理観について度々耳にしますが、「命の選定をせず、責任もって育てるべき」というような綺麗ごとだけの意見ではなく、夫婦の本音の部分をまとめました。
世の中のご夫婦が出生前診断に対してどんな価値観を抱いているのか、自分と比べてみてください。
新しい発見があるかもしれません。
出生前診断を受け「陽性」と診断された9割は中絶している
出生前診断を調べると色々な割合や数字が出てくるのですが、最も重要ではないか、と感じた数字がこの「9割は中絶」です。
出生前診断を受けるご夫婦は年代別では大きな違いはありますが、全体ではおよそ7.2%程度です。
≫【出生前診断】受ける時期はいつからいつまで?検査を受ける割合は?
欧州などに比べると決してまだまだ多い数字とは言えませんが、その7.2%のうち、陽性と診断された場合、9割のご夫婦が中絶を選択しています。
これはつまり、出生前診断を受ける人は「陽性」だった場合、どういう選択をするのか決めているということです。
ダウン症などの異常が見つかった場合、育てられないと諦めているわけです。
逆に言うと、中絶という選択を考えれない人は出生前診断を受けないとも考えられます。

この数字が「命の選別ではないのか」と言われる理由なのですが、綺麗ごとだけでは子育ても生活も厳しい人がいることも事実ですよね。
こういうことを踏まえて、出生前診断の感想や体験談を見てください。
出生前診断・障害への感想と体験談
検査の流れや内容は当然気になるかもしれませんが、世の中が関心があるのはどういう気持ちで、どういう理由で出生前診断を受けたのか、受けようと思ったのかです。

また障害児を育てるとはどういうことなのか、綺麗ごと抜きで考えてみてください。
50歳 検査を受ける必要性は感じない
出生前診断を受けることができてしまう現在においては、産む産まないは妊婦さんの判断を尊重するしかないと思います。なので、検査を受ける前のカウンセリングを必須にして軽い気持ちで受けることをなくし、悩んでしまう妊婦さんを一人でも減らしてほしいです。
結果によって妊娠をあきらめるという意志をはっきり持っている人だけが受けるようにしてほしいです。そうすれば少なくとも悩む妊婦さんは減ると思います。
軽い気持ちで検査を受けてしまうと、つらい現実を突きつけられたとき、短期間での決断を迫られ深く傷ついてしまうでしょう。
39歳 染色体異常ではない障害児の母
一人目の子を39週で出産の途中に亡くしました。その後二人目を妊娠。病院では「一人目のことがあるので羊水検査もできますよ」と言われました。一人目を亡くしているからこそ余計に、生きていればどんな子でも育てるという強い気持ちでいましたので、その場で羊水検査はお断りしました。その時の先生の嬉しそうな表情が印象的でした。
その後、脳に障害があることが判明しましたが、出産。染色体の異常はありませんでした。結局、出生前診断ですべてがわかることはありません。
私には障害児は育てられない…という理由で出生前検査、中絶をお考えになる方がいらっしゃることも理解できます。ただ、やってやれないことはないと、障害児育児を経験してみた今は思います。
37歳 羊水検査結果待ち
7歳の主婦です。結婚した後すぐに子供を希望していましたが続けて二度流産を経験し、不育症・不妊の治療をして何とか妊娠継続しています。私たち夫婦が検査を受ける決断をしたのは12週時点での検診の際に胎児浮腫が4.4ミリと厚く、染色体異常である確率が同じ37歳高齢出産の場合より高いとの説明を医師から受けたからです。
私は不育症の治療もしており、過去には流産を経験しているため検査を受けることによるリスクも高かったのですが、流産する確率より染色体異常で生まれる確率の方が高く、事実を知ることを先延ばしにすることに意味がないと考え、今回の検査に踏み切りました。
検査は受けなくて良いものなら受けたくはなかったし、妊娠できたことを素直に喜べるならどんなに幸せかと思わない日はありません。 ただ、検査については賛否両論ありますが、私は必要と考えます。
30歳 まず必要なのは知ることでは?
出生前診断に対して受けるか受けないか、産むか産まないか選択する事ばかりが先行してしまっている気がします。日本では障害に対する情報が少なく、接する機会も少ない…知らない事に対して、人は漠然と不安感や恐怖を感じます。妊娠初期の不安定な時期に「知らない」事に対する選択を迫られたら…結果は容易に想像できます。
まずは「障害」の知識や、障害を持つご本人やご家族の声、必要であれば直接お話を伺う機会を設ける等、知る事が出来る体制を整えてほしいと思います。知るために検査自体はあって然るべき。
19歳でNIPTにて診断
父親が誰なのかいまいちわからなかったのでNIPTなら10代でも検査できるので検査を受けました。異常があったら中絶と決めていたし、異常がなかったらこのまま一人で育てるのもいいと思っていたからです。
いざ検査をすると、採血だけで終わったので実感がありません。結果は陰性でしたが、その時から絶対に産みたいという気持ちが強くなってきていました。
結果、娘が生まれましたが、今思うと何も考えずに検査を受けたことが娘に申し訳なくて反省しています。
33歳でNIPTにて診断
スクリーニング検査の1つである無認可でのNIPTを受けました。35歳以下の場合はこの方法になります。無認可施設で利用する場合は本当に心と準備をしっかりしておく必要があります。
でも出生前診断は35歳未満でも選択肢としてあって然るべきであると私は思います。
しっかり遺伝カウンセリングを受けられて夫婦が命を受け入れる準備ができるよう、社会が整っていくことを願います。
≫NIPT新型出生前診断とは?【35歳以下でも検査できる医療機関】
36歳でNIPTにて診断
36歳で新型出生前診断(NIPT)を受けましたが、もし20歳代で妊娠していたら「ダウン症の赤ちゃんが生まれるかも」という考えがなく、新型出生前診断(NIPT)を受けなかったと思います。
「染色体異常があったらどうしよう・・・」とずっと不安になっていました。「このままでは不安に押しつぶされてしまう」と感じ、夫と相談して新型出生前診断(NIPT)を受けることにしました。
「もし染色体異常があったらどうするか?」ということを考えることは非常に重要なことです。
染色体異常があったら選択は2つです。「そのまま生む」か「中絶する」です。ここを二人で考えておいたほうが後々悩みません。
38歳初産から3度の出産と3度の検査
何のために出生前診断を受けようと考えていますか?
私は三回妊娠出産して、三回とも受けています羊水検査のみを二回、最後の子だけNIPT。初産が38歳の時でしたから、障害児の確率もそれなりにありました。
お金はかかりましたが、私が出生前診断を受けたのは、それで判明する障害を持った子を産みたくないというはっきりとした気持ちがあったからです。確率しか出してくれないような検査では意味がありませんでした。
低い確率でも、例えば生まれてしまってから、ダウン症でしたと言われてしまっては時間は戻せません。出産もなかったことにはできません。そんな目にあいたくないので受けた検査です。そうなってしまってからでは、いくらお金を積んでもどうにもならないと思えば、出生前確定診断にかかる費用など全く気になりませんでした。
嫌な言い方になりますが、出生前診断にかかる費用を惜しむような経済状態であれば、逆に、障害児の面倒など見切れないのではないかと思います。
40代で一人目は受けていないが二人目NIPT
初産のときは、どうしても産みたい気持ちが強く、NIPTは受けませんでした。でもどんどん心配になり、産みたくても心構えのために受けようと思い、その時期からでも間に合った胎児ドックを受けました。胎児ドックが受けられるのは、中期でしたので、結果によって諦める可能性があるなら、遅すぎます。
第二子は、異常があったら諦めるつもりで、NIPTを受けました。結果、第二子はNIPT陰性でしたが、その後のエコーで、臓器異常が見つかりました。
念の為、羊水検査も受けることにしましたが、それも陰性で、染色体異常に由来しない臓器単体の異常だと分かりました。産前は胎児手術で入院、産後も赤ちゃんは入院予定で、知的障害を伴う可能性もあるそうです。
検査を受けたからといって100%障害児を避けられるかというとNOですが、一定の回避には繋がるのは事実だと思います。
30代後半でNIPTにて検査
20代で二人出産。3人目が30代後半でした。年齢を重ねるごとに慎重になってしまい、久々の出産、高齢ということでNIPTを受けました。たしかに値段は高めです。
結果がでるまでは、本当に心配で気になり落ち着かなったのですが、陰性と結果を頂いて本当に安心しました。安心を買ったって感じです。
障害も産まれる前からわかるもの、産まれてからわかるもの、なにかの事故でなってしまう、ほんとうにどうなるかわかりません。
40代後半でNIPTにて陽性から中絶体験
40代後半。新型出生前診断で陽性から中絶を経験しました。
メディアがこの問題について発信する情報は、同診断を受けないことを決断した人、あるいは受けて陽性が確定したけれども生むことを選んだ人を取り上げる「美談」が殆どで、陽性確定者の多数派である中絶手術体験者の声が反映されていないと感じます。
私たち夫婦は高齢なだけに「障害がないことを確認し、安心してその後の妊娠生活を過ごしたい」と考えて同診断を受けることにしました。私としては、事前に疾患がわかれば心の準備ができる」も思っていました。その時点では、どんな疾患のある子でも受け入れて産もうと漠然と考えていたのです。
ところが、いざ診断で陽性判定が出ると、上記に述べた様々な不安が一気に押し寄せ、坂道を転がり落ちるかのように、気持ちは中絶手術へと傾いていきました。しかし、実際に手術によって死産した我が子と対面した時、愛しさが込み上げ、なぜ息をしていないの。お願いだから生き返って!と号泣しました。手術を受けてから後悔しても遅いのです。
「安心したいから」という理由で受ける人は多いようですが、お勧めしません。経験上、陽性判定を受けると冷静な判断力が失われ未知の将来への恐怖心からとにかく生活が変わらない選択肢を選びたい強い誘惑に駆られます。
従って、診断を受けるのは「陽性の場合は産まない」と決めた時のみとするのが良いと思います。
30代双子を人工死産
双子を授かりました。1人が18トリソミーで残念ながら2人を諦めることにしました。文章で書くのは簡単ですが…それはそれは苦しい日々であり、今でもその選択が正しかったのか…後悔しない日はありません。ここでは書ききれない程の思いがあります。羊水検査でわかりました。
人工死産を含めた中絶。怖いし、痛いし、苦しいし、できればしたくない…できれば産みたい…皆それが本音ではないでしょうか。その状況に直面した事もないのに一方的に命を選択していると言って他人が批判するのは無責任だと私は思います。
一口に異常といってもその子供によって状態も違うし、環境も違うのです。その後の子供と私の人生の責任を誰がとってくれるのでしょうか?産むのだって苦しいし、産まないのだって苦しいのです。
30代障害児母 綺麗ごとは言わないで欲しい
重度自閉症児の母です。毎日問題行動で、家族は心身ともに疲れきっています。 他人に迷惑をかけるたびに謝って歩き、外出すれば好奇の目で見られ、言葉での意志疎通は困難、パニックでわめき散らし汚物を壁になすられる… これが障害児を育てるということです。
こんな生活をしないために、出生前診断を受けることの何が問題なのでしょうか。
身内に障害者がいるということは親だけの問題ではない、兄弟や祖父母親戚、周囲の人間すべてを巻き込みます。 障害者と暮らしたことのない人が、きれいごとを言わないでいただきたい。
出生前診断の体験談からわかったこと
様々な出生前診断の体験談を見てきましたが、状況は違えど共通点があることにお気づきでしょうか。
まとめたものがこちらです。
- 陽性だったらどうするかを夫婦で決めてから検査をするべき。
- 中絶という選択肢を選べない人が出生前診断をするべきではない。
- 陰性だからといって100%健康な子供が生まれてくるわけではない。
- 障害児を産むことへの不安や恐怖があるのが普通。
- 35歳未満でも出生前診断を受けたい人は多い。
上記には載せていない体験談は数多くありますが、その多くは上記5つのどれかに当てはまっていることが多く、同じような感想を持つものであることがわかります。
とはいえ、価値観は千差万別で、どういう選択をするかはご夫婦で決めるべきことです。

私たち夫婦もダウン症をはじめとする胎児異常をとても心配していました。
長年子供ができなかったので一人目の時は出生前診断をしようとは思っていませんでしたし、実際検査はせず出産しています。
しかし、二人目を妊娠した時、「もし異常があったら一人目に負担がすべて行ってしまわないか」と危惧し始めました。
毎日のように妻は思い悩んでいて、それを見ている私は非常に辛かったことを覚えています。
結局、切迫早産で入院になったのでそれどころではなかったため、検査は受けずになんとか出産を終えたのですが、およそ10か月の間、同じことで悩み続けることはとても辛いことです。
「中途半端な気持ちで検査は受けないほうがいい」これだけは強く感じましたし、35歳以下だろうが不安を払拭できるなら受けたほうがいいとも感じました。
でも正解はありません。これだけは確かです。
≫【増加中】出生前診断の費用はいくら?【医療費控除は受けれるのか】
≫NIPT新型出生前診断とは?【35歳以下でも検査できる医療機関】
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