
- 中絶ってなに?いつからできるの?
- ダウン症とか異常がわかって中絶する人はどれくらいいるの?中絶率や割合が知りたい。
- 中絶をする人ってどんな理由が多いのかな?
- 海外だと中絶や出生前診断ってどうなってるの?
こんな疑問に答えていきます。
- 日本が出生前診断や中絶に関して後進国であることがわかる。
- 出生前診断から中絶をする割合がどれくらいかわかる。
- 中絶を行う主な理由を知ることができ、今のあなたの現状と比べられる。
法律上の中絶とは?

法律上、妊娠人工中絶とはどう定義されているのでしょうか。
母体保護法第2条第2項
母体保護法で人工妊娠中絶とは、「胎児が母体外において、生命を保続することのできない時期、人工的に胎児及びその付属物を母体外に排出すること」を言います。
なお、胎児付属物とは胎盤・卵膜・暖帯・羊水のことを言います。
胎児が母体外において生命を保続できない時期、すなわち胎児が生存の可能性がない時期の判断に関しては、母体保護法第14条に基づいて指定された指定医師によって個々の事例について行われるもの、とされてきました。
当初、昭和28年6月の厚生事務次官通知「優生保護法の施行について」をもってその時期の基準は、通常妊娠8月未満とされてきたのです。
出生前診断というのは、赤ちゃんが生まれてくる前に、病気や異常がないかを調べる出生前検査を行い、この結果によって診断されることを言います。
つまり、診断結果で異常が出てしまった場合、出産を望まない夫婦が強制的に人工的に出産を取りやめる流れというのが、出生前診断→中絶になるわけです。
日本では未だに搔き出す方法を行う病院が多いですが、海外では真空吸引法や薬剤による中絶方法が主流で、搔き出す方法を使っている病院は数少ないです。

日本は人工中絶に関してはかなり遅れている国というわけです。
中絶はいつからいつまですることができるのか?
中前が可能だったのが、上述した妊娠8週未満だったのは昭和28年という時代でしたが、医学の進歩に伴って昭和51年には妊娠25週未満へ、平成3年からは妊娠22週未満に改めています。

つまり妊娠21週6日までは中絶を行うことが可能というわけです。
ダウン症等による出生前診断からの中絶率・割合
出生前診断を受けて、ダウン症をはじめとした染色体異常が発見され、陽性と診断された夫婦のうち9割が人工中絶という選択をしています。

これは多いと思いますか?
そもそも、「異常があっても出産する」「胎児異常について微塵も考えたことがない」人は出生前診断を受けません。
異常が見つかったら「中絶する」と頭の片隅にでもある人、考えている人は出生前診断を行います。
ですから、9割という高い数値になるわけです。
出生前診断を受けること自体が「命を選別している」とされてしまう風潮もありますが、普通でしたら異常のない健康な子供を出産したいと誰もが思うはずです。
自分の幸せを求めることは当然で、そのための出生前診断であると考えると、そこまで禁止にすることはあまりにもでしょう。
尚、年代別に出生前診断を受ける割合についてはこちらをご覧ください。
≫【出生前診断】受ける時期はいつからいつまで?検査を受ける割合は?

ここ数年での中絶率推移を見てみましょう。
平成29年度の人工妊娠中絶件数は164621件で、前年度に比べ3394件(2.0%)減少しています。
20歳未満について各歳でみると19歳が6113件と最も多く、次いで18歳が3523件となっています。
人工妊娠中絶実施率は6.4となっており、年齢階級別にみると20~24歳が 13.0、25~29歳が10.5となって、20歳未満について各歳でみると19歳が10.1、18歳が6.0となっています。
中絶数が減少している背景には、妊婦の高齢化や、人口の減少、出生数低下、性教育などが考えられます。
中絶をする理由にはどんなものがあるのか?
妊娠中絶を行う決心をしたご夫婦がどんな理由で決めたのか気になりませんか?
私は個人的には、夫婦で決めたことが1つの正解であると思っていますが、どんな夫婦も葛藤があったことは確かでしょう。
中絶を選択する理由のうち、大きなものは3つです。
- 出産することで学業・仕事・自分の責務に支障がでる。
- 子供を育てる余裕がない。
- 片親になりたくない、相手との間に問題を持ちたくない。
中絶したうちの12%は服用した薬によって子供に危害が及んでいないか心配で行っていて、15000人が性的被害などで中絶を行っています。
さらに13%は子供に何らかの障害があるという理由で中絶しています。
海外の出生前診断と中絶事情
こと出生前診断に関して、日本とその他の先進国ではかなり違いがあり、日本は受けられる出生前診断の種類が他の先進国に比べて少ないのです。
論理的に問題であると言われ続け、胎児検査には消極的で、海外で新しい検査ができていたとしても積極的に取り入れようとする専門家がほとんど出てきませんでした。
しかし、新しい出生前診断を次々と取り入れてきた国は、カウンセリング体制や胎児治療まで進んでいました。

ここでは海外の出生前診断と中絶に関して比べてみましょう。
調査年代は数年の違いはありますがほぼ同年での主要な各国人工中絶の割合をグラフにしたものになります。(女性人口対比)
出典:男女共同参画局
ここには載っていませんが、中絶数だけで見ると中国とロシアが圧倒的となります。
数年前の段階での数字は以下の通りです。
出生前診断は最先端の新型出生前診断NIPTに関する部分を中心に載せています。
≫NIPT新型出生前診断とは?【35歳以下でも検査できる医療機関】
ほぼ100%堕胎のアイスランド
北欧のアイスランドでダウン症と診断された胎児のうち、ほぼ100%が堕胎されてしまいます。つまり中絶です。
人口33万人の中で、1年で生まれるダウン症の子供は1人か2人程度でしかありません。
アメリカでは1年で6000人ものダウン症の子供が生まれると考えると非常に、いや異常に低い数値であるとわかると思います。
これはなぜかというと、
- 出生前診断の提示が全ての妊婦に提示される。
- 実際85%ほどの妊婦が出生前診断を受ける。
- 法律で妊娠16週以降でも障害を有している場合でも堕胎を許可されている。
こういった事情があるからです。
アメリカのダウン症堕胎禁止法案
ペンシルバニア州の下院議員マイク・ターザイ氏は、出生前診断でダウン症だと判断されたことを理由に堕胎することを禁ずる法案を同州で提出しました。
「誰一人、完璧に生まれてきた人はいません。そして、一人残らず、何か社会に貢献する美しいものを持っているのです。ペンシルバニアは愛あふれた思いやりのある州です。私たちはダウン症の家族たちを歓迎し、支援したい。彼らは、自分たちが孤独ではないということを知る必要があります」
アメリカの場合、出生前診断も保険適用となっています。
日本では適用外ですよね?

もちろん検査で性別を知ることもできる点は日本と同じです。
NIPT検査は医療機関にもよりますが、早いと1日で検査結果がでるというハイスピードです。
特別拒否をしなければNIPTはアメリカではごく一般にされている検査と言えます。
ただ、アメリカは州によって違ったりしますので一概には言えませんが、中絶を行いにくい国であることは確かです。
性別を知ることが許可されていないフランス
フランスのNIPT新型出生前診断では性別を知ることは禁止されています。
フランスの場合、日本同様にまだまだ検査費用が高額なため、そう簡単に受けれる妊婦さんが多くありません。

日本と同様、保険適用外ですので全額負担となります。
ただし、保険証が不要なので海外の人でも受けることが可能です。
妊娠10~18週程度であればNIPTを受けることができ、結果が届くまでおよそ2週間となります。
500種類もの病気がわかる検査があるドイツ
ドイツでは、普通の妊婦検診のオプションとして、新型出生前診断NIPTを受けることができます。
希望すれば受検することができるので、希望がある場合は気軽に担当医に相談が可能です。

NIPTより詳しく遺伝子を調べることで500種類もの病気を判断できる検査もありますが当然高額です。
ドイツで新型出生前診断を受ける場合は、希望者が12週~20週まで受けることができます。
まとめ
- 日本の場合、出生前診断で陽性と反応があった夫婦の9割は人工中絶を行うというデータがある。
- そもそも「中絶」という考えがない人は出生前診断をしない。
- 中絶する大きな理由は生活への支障・育児への自信・パートナーとの問題がほとんどである。
- 世界から見ても日本は出生前診断への取り組みが遅く、中絶方法も世界的に時代遅れな方法で行っている。
産むことだけが美徳というわけではありません。
日本では、産むことが美徳と考える風潮が強いのは事実ですが、望まない出産をすること、産めばなんとかなるという無責任で考えなしでの出産だけは避けて欲しいと願います。
妊娠し、出産できる女性にとっては、産むことも産まないことも重さは等しく、どの選択をするかは夫婦や個人によって全く違い、罪悪で決めることでもありません。
重要なことは責任を果たし、失敗を繰り返さないことだと思います。

子供の病気を知りたくない親っていますか?
異常があってもしっかり向き合って結論を出すことこそ大切だと感じます。